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【書評】東野圭吾『殺人現場は雲の上』|CAコンビが活躍するユーモア推理短編集の魅力


※上記は紙媒体の書籍です。

東野圭吾といえば、重厚な人間ドラマや緻密なトリックを思い浮かべる人が多いでしょう。

しかし『殺人現場は雲の上』は、そうしたイメージを良い意味で裏切ってくれる一冊です。

本作は、気軽に読めて思わず笑みがこぼれる“ユーモア推理小説”。

それでいて、ミステリーとしての面白さはしっかりと保たれています。

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CAコンビ「エー子とビー子」という名キャラクター

物語の主人公は、新日本航空のスチュワーデス、早瀬英子(エー子)と藤真美子(ビー子)の二人組。

冷静沈着で頭の回転が速いエー子と、おっちょこちょいで感情豊かなビー子。

正反対の性格ながら、息の合ったコンビとして社内でも有名な存在です。

彼女たちがフライトや滞在先で遭遇するのは、なぜか奇妙な事件ばかり。

ホテルで殺害された乗客、機内に残された赤ちゃん、偶然拾った遺書のような落とし物……。

殺人事件という言葉から想像するほど重苦しくはなく、「日常の延長にある謎」として描かれている点が本作の特徴です。

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短編ならではのテンポの良さと読みやすさ

『殺人現場は雲の上』は短編集のため、一話一話が非常にコンパクトにまとまっています。

難解な伏線や複雑な人物関係はなく、ミステリー初心者でも安心して読み進められる構成です。

エー子の論理的な推理に「なるほど」と感心しつつ、ビー子の素直な疑問や勘の鋭さにクスッとさせられる。

この掛け合いが心地よく、読み終えた後に妙な疲労感が残らないのも魅力でしょう。

「今日は一編だけ」と思って読み始めたのに、気づけば最後まで読んでいた、そんな読書体験をさせてくれます。

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時代を感じさせる背景と普遍的な面白さ

本作は1989年に刊行された作品であり、作中には時代を感じさせる表現や名称が登場します。

今の感覚で読むと少し懐かしく感じる場面もありますが、それがかえって物語に独特の味わいを与えています。

スマートフォンもSNSもない時代だからこそ成立する展開があり、現代のミステリーとは違った面白さがあります。

それでも、人の嘘や秘密、ちょっとした違和感から真実に近づいていく過程は色褪せません。

東野圭吾の観察眼の鋭さは、この頃からすでに完成されていたのだと実感させられます。

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重い東野作品に疲れた人にこそおすすめ

『白夜行』や『容疑者Xの献身』のような重厚な作品を読み続けていると、「もう少し気楽な東野圭吾が読みたい」と感じる瞬間があるはずです。

そんなときにぴったりなのが『殺人現場は雲の上』です。

深く考え込まずとも楽しめる一方で、推理小説としての満足感はきちんと得られる。

まさに“箸休め”のような一冊でありながら、読み終えた後には東野圭吾という作家の懐の深さを改めて感じさせてくれます。

ミステリー初心者にも、東野圭吾ファンにもおすすめできる、軽やかで心地よい短編集です。


※上記は紙媒体の書籍です。

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