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田内学『お金のむこうに人がいる』感想・要約|お金ではなく「人」で見る経済入門

田内学『お金のむこうに人がいる』感想・要約|お金ではなく「人」で見る経済入門

「お金とは何か?」

そう聞かれると、

「生活するために必要なもの」

「将来のために貯めるもの」

「たくさんあれば安心できるもの」

と答える人も多いのではないでしょうか。

田内学さんの『お金のむこうに人がいる』は、そんな普段のお金の見方を少し違う角度から考え直す本です。

本書で繰り返し登場するのは、

お金そのものではなく、その向こうで誰が働いているのかを見る

という考え方です。

私たちは商品を買うとき、

「1,000円を払った」

と考えます。

しかし、お金そのものが商品を作ったわけではありません。

作った人がいる。

運んだ人がいる。

販売した人がいる。

私たちの生活を実際に支えているのは、お金ではなく人の働きです。

この視点を知ると、GDP、投資、政府の借金、年金といった経済の話も少し違って見えてきます。

私自身も、本書を読んで「お金中心」で見ていた社会を「人中心」で見直すという考え方が特に印象に残りました。

この記事では、『お金のむこうに人がいる』の内容を簡単に要約しながら、本書で印象に残った考え方、読んで感じたこと、どんな人に向いている本なのかを紹介します。

『お金のむこうに人がいる』とは?

『お金のむこうに人がいる』は、元ゴールドマン・サックスの金利トレーダーである田内学さんが書いた経済入門書です。

項目内容
書名お金のむこうに人がいる
副題元ゴールドマン・サックス金利トレーダーが書いた 予備知識のいらない経済新入門
著者田内学
出版社ダイヤモンド社
発行2021年9月
ページ数272ページ
ジャンル経済・金融

経済の本というと、

GDP。

税金。

国債。

インフレ。

投資。

といった専門用語が並ぶ難しい本を想像するかもしれません。

しかし本書では、身近な疑問を入り口にして経済を考えていきます。

たとえば、

「なぜ紙幣をコピーしてはいけないのか?」

「預金が多い国は本当にお金持ちなのか?」

「投資とギャンブルは何が違うのか?」

といった問いです。

そして本書全体を通して重要になるのが、

経済をお金だけで見ず、その向こうにいる人を見る

という視点です。

『お金のむこうに人がいる』を一言で要約すると?

本書を一言でまとめるなら、

お金そのものではなく、その向こうにある人の労働から経済を考え直す本

です。

たとえばスーパーで野菜を買うとします。

私たちは、

「300円で野菜を買った」

と考えます。

しかし、その野菜が店に並ぶまでには、

野菜を育てる人。

収穫する人。

運ぶ人。

店頭に並べる人。

販売する人。

さまざまな人が働いています。

300円というお金が野菜を作ったわけではありません。

お金を使うことで、誰かの労働によって作られたものを受け取っている。

この考え方を社会全体へ広げていくと、経済の見え方が変わります。

お金が増えれば豊かになるのか。

預金が増えれば安心なのか。

GDPが増えれば生活は豊かになるのか。

政府の借金は将来世代への借金なのか。

本書では、こうした問題を「誰が働くのか」という視点から考えていきます。

本書で特に印象に残った4つの考え方

お金そのものより、その向こうにいる人を見る

本書の出発点になるのが、

お金そのものに生活を豊かにする力があるわけではない

という考え方です。

紙幣そのものを食べることはできません。

家を建てることもできません。

病気を治すこともできません。

それでもお金があれば、食べ物を買ったり、家を建ててもらったり、医療サービスを受けたりできます。

なぜなら、その向こうに働いている人がいるからです。

つまり重要なのは、

「いくらお金があるか」

だけではありません。

そのお金を使ったとき、誰が働いてくれるのか。

ここを見る必要があります。

この考え方が、本書のGDP、投資、政府債務、年金といった話につながっていきます。

お金を否定するのではありません。

お金という便利な仕組みの向こうに、人の働きがあることを忘れない。

この視点が本書全体を貫いています。

「個人の財布」と「社会の財布」は違う

個人のお金について考えるなら、

「預金が多いほど安心」

「借金は少ない方がいい」

という考え方は自然です。

ところが、本書ではこの考えをそのまま社会全体へ当てはめることに注意を促します。

個人の財布には「外側」があります。

会社から給料をもらう。

銀行から借りる。

誰かから商品を買う。

自分の外側との間でお金が出入りします。

一方、社会全体を一つの財布として考えると事情が変わります。

社会の中で誰かが受け取ったお金は、別の誰かが支払ったお金です。

誰かの金融資産の反対側には、誰かの負債があります。

そのため、

「国全体で預金を増やせば、みんなが豊かになる」

と単純には考えられません。

自分一人のお金の常識と、社会全体のお金の仕組みは同じではない。

この違いは、ニュースで国の借金や預金額を見るときにも意識したい部分です。

GDPが増えることと、生活が豊かになることは同じなのか

GDPについての話も印象に残りました。

ニュースでは、

「GDPを増やす」

「経済成長が必要」

という言葉をよく耳にします。

もちろんGDPは、経済の規模や動きを見るための重要な指標です。

しかし本書では、

GDPという数字だけで、人々の生活の豊かさすべてを表せるわけではない

という視点から考えていきます。

本書ではGDPを「テストの点数」にたとえています。

テストの点数は、その人の状態を見る一つの手掛かりになります。

しかし、その数字だけで人間のすべてを判断することはできません。

GDPについても同じです。

数字が増えたことと、一人ひとりの暮らしが豊かになったことを、そのまま同じものとして考えることはできません。

この部分を読んで、

「数字が増えたこと」と「人の生活が良くなったこと」は本当に同じなのか

と考えさせられました。

失われた30年や経済成長について考えるときも、単に数字だけを見るのではなく、

「誰の生活がどう変わったのか」

まで見る必要があるのだと思います。

投資は「将来のために使う労力」

「投資」についての説明も、本書ならではの部分です。

一般的に投資というと、

株を買う。

投資信託を買う。

値上がりしたら売る。

といった金融商品の取引を想像します。

しかし本書では、単に金融商品の価格が上がることと、

「将来のために今の労力を使う」という意味での投資

を分けて考えています。

工場を作る。

技術を開発する。

人を育てる。

インフラを整える。

これらも、現在の人が将来のために働く行為です。

お金の数字だけを動かすのではなく、

未来の生活を豊かにするために、今の人の労働を何に使うのか。

そこを見ることが重要になります。

投資についても、

「いくら儲かるか」

だけではなく、

「そのお金の向こうで何が作られているのか」

と考える。

本書の「人を見る」という考え方は、ここでも一貫しています。

難しそうなテーマなのに読みやすい

『お金のむこうに人がいる』では、

  • 税金
  • 投資
  • GDP
  • 貿易
  • インフレ
  • 政府の借金
  • 年金

など、難しそうなテーマが次々に登場します。

それでも、私は読みづらさをあまり感じませんでした。

理由の一つは、いきなり専門用語の説明から入らないことです。

たとえば、

「なぜ紙幣をコピーしてはいけないのか?」

「食べ放題で元を取ることはできるのか?」

といった身近な疑問から話が始まります。

そこから、

「お金とは何か」

「労働とは何か」

「社会全体ではどう考えるのか」

と話が広がっていきます。

経済学の用語を覚える本というより、

普段当たり前だと思っているお金の見方を、一つずつ問い直していく本

と考えた方が近いです。

経済について詳しくない人でも入りやすい構成になっています。

読んで感じたこと|お金を見ると、人が見えなくなることがある

本書を読んで特に印象に残ったのは、

「お金中心」で見ていた社会を「人中心」で見直す

という考え方でした。

商品を見ると価格を見る。

仕事を見ると給料を見る。

国の経済を見るとGDPを見る。

将来を考えると貯金額を見る。

数字は分かりやすく、比較もしやすいものです。

一方、その数字の向こうには必ず人がいます。

食べ物を作る人。

商品を運ぶ人。

医療を提供する人。

社会を維持する人。

お金という数字だけを見ると、そうした人の存在が見えにくくなることがあります。

本書は、お金を否定する本ではありません。

お金という便利な仕組みを使いながら、

その向こうで実際に生活を支えているものは何なのか

を考える本です。

私自身も、本書を読んだあと、自分がお金をどう見ていたのか、そして社会をどう捉えていたのかを改めて考えさせられました。

少し気になったところ|普通の「お金の本」を期待すると違う

タイトルには「お金」とあります。

そのため、

  • 貯金方法
  • 家計管理
  • 投資方法
  • 資産形成
  • お金を増やす方法

を期待して読むと、思っていた内容と違う可能性があります。

本書が扱っているのは、

個人がお金持ちになる方法ではなく、社会の中でお金がどんな役割を持っているのか

という話です。

また、本書には著者独自の切り口で経済を捉えている部分も多くあります。

そのため、

「一般的な経済学を教科書のように体系的に勉強したい」

という目的とも少し違います。

一つの考え方だけを絶対的な答えとして覚えるのではなく、

「こういう見方をすると、経済はどう見えるのだろう」

と考えながら読む方が合っているでしょう。

経済学の答えを暗記する本ではなく、

経済について自分で考えるための入り口になる本

だと思います。

『お金のむこうに人がいる』がおすすめな人・合わないかもしれない人

本書は、次のような人に向いています。

  • 経済ニュースを見ても内容がよく分からない人
  • 経済学は難しそうだと感じている人
  • 「お金とは何か」を一度根本から考えてみたい人
  • GDPや政府の借金について違う視点を知りたい人
  • 投資や資産形成だけではないお金の本を読みたい人
  • 社会の豊かさについて考えてみたい人

特に、

お金を増やす方法ではなく、お金が社会でどんな役割を持っているのか知りたい人

には向いています。

一方、

  • 株式投資の具体的な方法を知りたい人
  • おすすめの金融商品を知りたい人
  • 節約・貯金術を知りたい人
  • 家計管理のテクニックを探している人
  • 経済学を体系的に勉強したい人

には、求めている内容と違う可能性があります。

「経済は難しそうだけれど、お金や社会の仕組みを一度根本から考えてみたい」という方は、『お金のむこうに人がいる』の詳しい内容や読者レビューを確認してみてください。

Amazon.co.jp: お金のむこうに人がいる――元ゴールドマン・サックス金利トレーダーが書いた 予備知識のいらない経済新入門 eBook : 田内 学: Kindleストア
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『小説版 バビロン大富豪の教え』とは何が違う?

お金について考える本として、『小説版 バビロン大富豪の教え』もあります。

ただし、2冊の方向性はかなり違います。

『小説版 バビロン大富豪の教え』では、

個人がどうお金を貯め、増やし、守っていくか

という方向からお金について考えます。

一方、『お金のむこうに人がいる』では、

社会全体で考えたとき、お金とは何なのか

というところまで視点を広げます。

簡単に分けるなら、

「自分のお金をどう管理するか」を考えたいなら『小説版 バビロン大富豪の教え』。

「そもそも、お金が社会でどんな役割を持っているのか」を考えたいなら『お金のむこうに人がいる』。

という違いがあります。

同じ「お金」を扱う本でも、かなり違う角度から考えられる2冊です。

『小説版 バビロン大富豪の教え』書評|100年読み継がれる「黄金の法則」と資産形成の本質
『小説版 バビロン大富豪の教え』を徹底書評。3000年前から伝わる「黄金を増やす7つの知恵」とは?収入の1割を貯める、欲望の優先順位、仕事を味方にするなど、現代でも即実践できるマネーリテラシーの本質を詳しく解説。お金に困らない人生を送るための、全世代必読のバイブルを紹介します。

まとめ|お金を見るのではなく、その向こうにいる人を見る

『お金のむこうに人がいる』は、貯金や投資のテクニックを教える本ではありません。

本書が一貫して問いかけているのは、

そのお金の向こうで、誰が働いているのか

ということです。

紙幣そのものが私たちの生活を豊かにしているわけではありません。

食べ物を作る人。

物を運ぶ人。

医療を支える人。

新しい技術を作る人。

社会の仕組みを維持する人。

多くの人が働いているから、私たちの生活は成り立っています。

お金は、そうした人たちの働きと私たちをつなぐ便利な仕組みです。

だからこそ、

「いくらお金があるか」

だけではなく、

「誰が働き、誰の生活が支えられているのか」

を見る。

この視点を知ると、GDP、投資、政府の借金、年金などのニュースについても、数字だけではない角度から考えられるようになります。

私自身も、本書を読んだあと、自分がお金をどう見ていたのか、そして社会をどう捉えていたのかを改めて考えさせられました。

経済を難しい専門用語だけでなく、

「人の話」として考えてみたい人

におすすめしたい一冊です。

『お金のむこうに人がいる』が気になった方は、書籍の詳しい内容や読者レビューを確認してみてください。

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