「考える力が大事」とよく言われます。
けれど実際には、“どう考えればいいのか”まで教えてもらえる機会は多くありません。
会議で意見が出ない、企画が浅い、問題解決の糸口が見えない――そんな経験がある人は少なくないでしょう。
高松智史さんの『「暗記する」戦略思考』は、まさにその悩みに真正面から答えてくれる本です。
タイトルだけ見ると勉強法の本にも思えますが、中身はかなり実践的なビジネス思考本。
しかも、「頭のいい人だけが使える思考法」ではなく、凡人でも再現できる形で落とし込まれているのが最大の魅力でした。
「暗記」で思考力を伸ばすという逆転の発想
本書の主張は明快です。
戦略的に考えられる人は、才能だけでそうなっているわけではない。使っている“型”を知っているだけだ。
つまり、ゼロから天才的な発想を生み出す必要はなく、成果を出している人たちが使う思考パターンを学び、それを暗記し、必要な場面で使えばいいという考え方です。
この発想は、かなり勇気をもらえます。
多くの人は「自分にはセンスがない」「アイデアが浮かばない」と悩みます。
しかし本書は、「才能がないなら型を使えばいい」と言い切ってくれるのです。
それは精神論ではなく、非常に現実的なアプローチでした。
本書で紹介される12の戦略思考パターン
本書では、戦略的に考えるための複数の視点が紹介されています。たとえば、
- その人になりきって考える
- ライバル視点で考える
- 他の方法はないか考える
- ホーム&アウェイで考える
- 本当に解くべき問いは何か見直す
- 利害関係者から考える
- 生態系全体で考える
- あえて何も変えない選択肢を考える
- ターゲットを絞って考える
など、実務ですぐ使えそうなフレームワークが並びます。
どれも難解な理論ではありません。
むしろ、「そんな見方があったのか」と視界が開ける感覚に近いです。
普段、自分がいかに一方向からしか物事を見ていなかったかに気づかされます。
印象に残ったのは“因数分解して考える”視点
個人的に特に面白かったのは、「問題を因数分解して考える」という発想です。
売上が伸びない、集客できない、人が育たない。
こうした悩みを一つの塊として見ると、解決策は見えにくくなります。
しかし要素に分解してみると、「認知の問題なのか」「商品の魅力なのか」「導線なのか」など、手を打つべき場所が見えてきます。
これは仕事だけでなく、日常生活にも応用できます。
なんとなくモヤモヤしている悩みも、分解すると対処可能な課題に変わる。
本書の価値は、こうした“使える視点”を与えてくれるところにあります。
文体にはクセがある。でも内容は濃い
正直に言うと、本書の語り口はかなり独特です。
会話調でテンションも高く、独自ワードも多め。
人によっては少しクセを感じるかもしれません。
ただ、その文体には理由があります。
難しい概念を堅苦しく説明するのではなく、読者の頭に残るよう何度も繰り返し、印象的に伝えているのです。
実際、読み終えたあとに「使ってみよう」と思えるフレーズがいくつも残ります。
読む本というより、“頭にインストールする本”に近い感覚でした。
こんな人におすすめ
この本は、次のような人に特におすすめです。
- 仕事で考える場面が増えてきた人
- 会議で意見が出ず悩んでいる人
- 企画力・問題解決力を伸ばしたい人
- センスではなく再現性ある思考法を学びたい人
- コンサル的な考え方を実務に活かしたい人
逆に、静かで理論的な文章を好む人には、少し熱量が強く感じるかもしれません。
まとめ|才能より“使える型”を持つ人が強い
『「暗記する」戦略思考』は、「考える力は才能ではなく技術だ」と教えてくれる一冊です。
頭のいい人だけが戦略的に考えられるわけではない。
成果を出す人が使っている視点や問いを学び、自分の中にストックしておく。
その積み重ねが、凡人を強くする――このメッセージには説得力がありました。
考えることに苦手意識がある人ほど、読む価値があります。
思考力に自信がない人にこそ、手に取ってほしい実践書です。


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