
「これ、どうすればいいか自分の考えをまとめておいて」
上司からそう課題を振られた瞬間、頭の中が真っ白になってフリーズした経験はありませんか?
かつての私は、まさにその「フリーズ常習犯」でした。何か新しいことを考えようとしても、何から手をつけたらいいのか全く分からない。
結局、3秒で考えるのを諦めてネットで適当にググり、他社の事例をコピペした薄っぺらい企画書を提出しては、「君の意見はどこにあるの?」と秒でダメ出しを食らって傷つく……そんな情けない日々を繰り返していました。
「自分で考える力なんて、生まれつきのセンスなんだ。凡人の私には無理だよ」
そうやって諦めかけていた私を、根本から救ってくれたのが、渋滞学の研究でも知られる東大教授・西成活裕氏の『東大教授の考え続ける力がつく 思考習慣』でした。
この本が教えてくれたのは、考える力とは才能ではなく、筋トレのように鍛えられる「思考体力(考え続ける力)」であるという、目からウロコが落ちるような事実です。
今回は、仕事でフリーズしてばかりだった私が、実際に試して「思考の迷子」を脱出できた、大人からでも遅くない脳の筋トレ術を、私のリアルな失敗談とともにお届けします。

思考停止は才能ではなく単なる「思考体力」の不足です
自分の頭で考えられないのは、頭が悪いからでも才能がないからでもなく、ただ「考え続けるための体力(思考体力)」が足りていないだけです。
現代の私たちは、スマートフォンやSNSによって常に思考を細切れにされ、無意識のうちに「1段、2段考えたらすぐにネットの答えに逃げる」という悪い癖(思考体力の不足)が染みついているからです。
実際、私も昔は「自分で考える」と言いながら、ちょっと行き詰まるとすぐに「ドル円 今後の見通し」などと検索して、他人の書いた答えを自分の頭の意見だと錯覚していました。
これは、歩くのをサボってエスカレーターばかり乗っているせいで足腰が衰えているのと同じ状態でした。
考える力は、気合いやセンスではなく、日々使い続けることで鍛えられる「筋力」そのものです。
「すぐにググって答えを出す習慣」を一度引き算し、自分自身の頭に負荷をかける。
たったこれだけのマインドセットを持つことで、衰えていた思考の筋肉は、何歳からでも驚くほど若々しく蘇り始めます。
複雑な問題は「微分思考」で細かく分解すれば簡単に解けます
大きすぎて何から考えていいか分からない課題にぶつかったときは、問題を極限まで小さく刻む「微分思考」を使えば、誰でも思考停止を避けて今すぐ動き出せます。
人間の脳は、大きすぎる難問を前にするとパニックを起こしてシャットダウンしてしまいますが、「これなら今すぐ1分でできる」という最小単位にまで課題を分解(微分)してあげれば、脳はストレスを感じずに動き出すからです。
私は以前、「1ヶ月のプロジェクトの計画案を立てて」と言われた際、どこから考えていいか分からず1週間も手をつけられずにフリーズしていました。
そこで、本書の「微分思考力」を思い出し、「まずは最初の15分で、関係者3人に現在の課題をヒアリングするメールを1通送る」というレベルまで、仕事を粉々に砕いてみました。
すると、あんなに重かった頭のフリーズが嘘のように消え、目の前の小さな一歩からスルスルと全体の計画がまとまっていったのです。
どんなに高い壁に見える問題であっても、小さな砂粒の山にまで分解してしまえば怖くありません。
何をすればいいか焦ったときこそ、まずは課題を「微分」して、1分でできる作業に変えてしまうのが最良の戦略です。

分岐点では「場合分け」を書き出すだけで迷いが消えます
仕事や人生の選択肢で悩んでフリーズしてしまうときは、可能性をすべて机の上に並べる「場合分け」を行うことで、最も冷静で失敗のない決断を導き出せます。
どれが正解かを頭の中だけでぐるぐる考えても脳のメモリを浪費するだけですが、分岐点における選択肢をノートに客観的にマッピングすれば、それぞれのルートのリスクやメリットがパズルのようにクリアに見えてくるからです。
私はかつて、会社内でのキャリアや転職について悩んでいたとき、布団の中で「今の仕事を続けるべきか、それとも外へ出るべきか」と無限ループの妄想を繰り返し、ただ胃を痛めていました。
そこで本書に登場する数学的な「場合分け力」の視点を取り入れ、自分の取るべき行動を「A:会社に残る」「B:部署異動を希望する」「C:転職活動を始める」の3つに分類し、それぞれの条件と起こりうる展開をノートに淡々と書き出してみました。
すると、頭の中で膨らんでいた得体の知れない不安が消え去り、「今の自分がまずやるべき最良の選択」がはっきりと目の前に浮かび上がってきたのです。
どれが正解か分からないと焦って立ち止まるのは、今日で終わりにしましょう。
頭の中に散らかった霧を晴らすために、まずはすべての可能性をノートに書き出し、仕分けていく「場合分け」を徹底するべきです。
結論:小さな思考の筋トレが、あなたの仕事と人生を変える
『東大教授の考え続ける力がつく 思考習慣』を読み終えたとき、私は自分の「考えることをサボっていた怠惰な自分」にハッとさせられました。
「すぐに役に立つ」本はサプリメントのようなもの。
でも、本当に私たちの足腰を強くしてくれるのは、日々の食事をじっくりと咀嚼するような、こうした泥臭い「思考習慣」です。
著者である東大の西成教授も、大学院時代に思うように研究が進まずに苦しみ、それでも「考え続ける」ことで道を切り開いたと語っています。
その泥臭い執念のストーリーに、私は深い親近感と、大きな勇気をもらいました。
難しい専門書を読む必要はありません。
ただ、明日出社したとき、何か大きな問題にぶつかったら、すぐにスマホを取り出すのをグッとこらえ、ノートに「微分思考」で課題を小さく書き出すことから始めてみませんか。
動き出したその瞬間から、これまで他人の答えに流されていたあなたの脳は、あなただけの「力強い推進力」を取り戻しているはずです。



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