
「仕事では結果を出したい」
「人間関係もよくしたい」
「自分の人生に軸を持ちたい」
こうした悩みに対して、小手先のテクニックではなく、もっと根本から考えようとするのがスティーブン・R・コヴィーの『完訳 7つの習慣 人格主義の回復』です。
タイトルには「習慣」とあります。
ただし、
早起きをする。
運動をする。
手帳を書く。
といった生活習慣を7つ紹介する本ではありません。
本書が扱うのは、
自分の考え方や行動を整え、そのうえで他者とよりよい関係を築くための7つの原則
です。
そのため、内容は決して軽くありません。
一度読めばすべて身につく本でもありません。
この記事では、『完訳 7つの習慣』の内容を簡単に要約しながら、7つの習慣それぞれの意味、人格主義やインサイド・アウトとは何か、読みにくさや実践方法まで紹介します。
作品データ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 書名 | 完訳 7つの習慣 人格主義の回復 |
| 著者 | スティーブン・R・コヴィー |
| 訳者 | フランクリン・コヴィー・ジャパン |
| 出版社 | キングベアー出版 |
| 発売 | 2013年8月 |
| ページ数 | 521ページ |
| ジャンル | 自己啓発・人生論 |
原著『The 7 Habits of Highly Effective People』は1989年に刊行されました。
『完訳 7つの習慣』は、日本で以前から読まれていた『7つの習慣』を、原書により忠実な形で訳し直したものです。
3分でわかる要約
『7つの習慣』を一言で表すなら、
人生の結果を変えたいなら、まず自分の考え方と行動の土台を整えよう
という本です。
7つの習慣は、バラバラに並んでいるわけではありません。
大きく3段階に分かれています。
| 段階 | 習慣 | テーマ |
|---|---|---|
| 私的成功 | 第1~第3 | 自分自身を整える |
| 公的成功 | 第4~第6 | 他者と協力する |
| 再新再生 | 第7 | 自分を磨き続ける |
その成長を、
依存 → 自立 → 相互依存
という流れで説明しています。
最初は人に頼る状態。
そこから、自分で考え、自分で選択できる「自立」へ進みます。
しかし、自立が最終地点ではありません。
自立した人同士が協力し、一人では生み出せない成果を作る「相互依存」へ進みます。
この流れを実現するための考え方が、7つの習慣です。
人格主義とは?
本書の副題は、
「人格主義の回復」
です。
ここを理解すると、『7つの習慣』全体が分かりやすくなります。
世の中には、
人から好かれる話し方。
説得する方法。
時間管理術。
仕事を効率化する方法。
など、さまざまなテクニックがあります。
もちろん、それらも役立ちます。
しかし、どれだけ話し方が上手でも、誠実さがなければ長期的な信頼関係は築きにくいでしょう。
そこで本書は、
誠実さ。
責任感。
勇気。
忍耐。
公正さ。
といった人としての土台を重視します。
つまり、
「何をするか」の前に「どんな人であるか」を考える。
これが人格主義です。
インサイド・アウトとは?
もう一つ重要なのが、
インサイド・アウト
という考え方です。
問題が起きると、
会社が悪い。
相手が悪い。
環境が悪い。
と外側を変えたくなることがあります。
しかし、相手や環境は自分の思い通りにならないことも多いものです。
そこで、
「まず自分に変えられることは何か」
と考えます。
これは、
「すべて自分が悪い」
という意味ではありません。
自分では変えられない問題もあります。
その中で、
自分の考え方や行動など、変えられる部分から始める。
これがインサイド・アウトです。
7つの習慣は、この考え方を土台にしています。
7つの習慣を一覧で確認
まず簡単にまとめると、次のようになります。
| 習慣 | 要点 |
|---|---|
| 第1 | 自分の反応や行動を選ぶ |
| 第2 | 人生の目的を考える |
| 第3 | 本当に重要なことを優先する |
| 第4 | 自分と相手双方に良い結果を考える |
| 第5 | まず相手を理解する |
| 第6 | 違いを活かして新しい答えを作る |
| 第7 | 自分自身を継続的に整える |
ここから一つずつ見ていきます。
第1の習慣|主体的である
人生には、自分では変えられないことがあります。
景気。
会社の方針。
他人の言動。
過去に起きた出来事。
これらに不満を持ち続けても、自分の力だけでは変えられない場合があります。
そこで、
「自分には何ができるのか」
へ意識を向けます。
出来事そのものは選べなくても、それにどう対応するかは選べることがあります。
主体的であるとは、
何でも自分の責任にすることではありません。
自分で選択できる部分へ力を使うこと
と考えると分かりやすいでしょう。
第2の習慣|終わりを思い描く
第2の習慣は、
終わりを思い描くことから始める
です。
一生懸命行動していても、向かっている方向が違えば、望んだ場所にはたどり着けません。
そこで先に、
どんな人生を送りたいのか。
どんな人間でありたいのか。
家族とどんな関係を築きたいのか。
何を大切にしたいのか。
を考えます。
目の前の目標を達成するだけではなく、
人生全体の方向を決める
ための習慣です。
第3の習慣|最優先事項を優先する
方向が決まったら、次は時間の使い方です。
毎日忙しくても、本当に重要なことへ時間を使えているとは限りません。
メール。
電話。
急な仕事。
細かな雑用。
緊急のことだけで一日が終わる場合があります。
本書で特に重視されるのが、
緊急ではないが重要なこと
です。
健康。
勉強。
将来の準備。
人間関係。
計画。
これらは今日やらなくても、すぐ困るとは限りません。
だからこそ後回しになりやすいものです。
重要なことを先に予定へ入れる。
これが第3の習慣です。
ここまでが「私的成功」です。
第4~第6は人間関係
第1~第3で自分自身を整えたあと、他者との関係へ進みます。
第4の習慣|Win-Winを考える
Win-Winとは、
自分だけが得をする。
相手だけが我慢する。
という関係ではありません。
自分と相手の双方にとって良い結果を探す
という考え方です。
もちろん、すべての場面で理想的な答えが見つかるとは限りません。
それでも、
「どちらが勝つか」
だけで考えず、
「双方が納得できる方法はないか」
と探します。
長く続く人間関係や仕事では、重要な視点です。
第5の習慣|まず理解する
正式には、
「まず理解に徹し、そして理解される」
です。
人の話を聞いていても、
次に自分が何を言うか。
どうアドバイスするか。
を考えてしまうことがあります。
そこで、自分の意見を言う前に、
相手は何を考えているのか。
なぜそう感じているのか。
を理解しようとします。
自分の経験へすぐ置き換えない。
まず相手の立場から聞く。
分かりやすい考え方ですが、実践は簡単ではありません。
第6の習慣|シナジーを創り出す
意見が違うと、
自分が正しい。
相手が間違っている。
という二択になりがちです。
しかし、
自分の案。
相手の案。
そのどちらとも違う、さらに良い方法が見つかる可能性があります。
それがシナジーです。
違いを消すのではなく、違いを活かす。
第4~第6の習慣を通して、一人で成果を出す「自立」から、人と協力する「相互依存」へ進んでいきます。
第7の習慣|刃を研ぐ
最後は、
刃を研ぐ
です。
切れ味の悪い刃物で木を切り続けても、効率は落ちます。
人間も同じです。
仕事ばかり続け、自分自身が疲れ切れば、長く成果を出すことはできません。
そこで、
身体。
精神。
知性。
社会・情緒。
といった面から、自分自身を整えます。
休む。
運動する。
学ぶ。
自分の価値観を見直す。
人との関係を整える。
こうした時間も大切です。
第7の習慣は、第1~第6を継続していくための土台でもあります。
依存から相互依存へ
7つの習慣を一つずつ覚えるだけでは、本書の全体像は見えにくくなります。
重要なのが、
依存 → 自立 → 相互依存
という流れです。
依存は、
「誰かが何とかしてくれる」
という状態。
第1~第3の習慣で、自分で判断し行動できる「自立」へ進みます。
ただし、自立したからといって、
「一人で何でもできる」
ことを目指しているわけではありません。
一人でできることには限界があります。
そこで第4~第6の習慣を使い、他者と協力する「相互依存」へ進みます。
まず自分の足で立ち、そのうえで人と協力する。
これが本書全体を理解するポイントです。
旧版との違い
日本では、以前から『7つの習慣 成功には原則があった!』が読まれていました。
現在の『完訳 7つの習慣 人格主義の回復』は、2013年に翻訳を刷新したものです。
出版社では、
- 原書により忠実に翻訳
- 「人格主義」をより明確に表現
- 原書の前書き・あとがき・付録なども収録
と説明しています。
これから初めて読むのであれば、現在の『完訳 7つの習慣』を選べば問題ないでしょう。
難しい?読みづらい?
『完訳 7つの習慣』は521ページあります。
決して軽い自己啓発書ではありません。
また、ページ数だけでなく、
人格主義。
パラダイム。
インサイド・アウト。
私的成功。
公的成功。
相互依存。
といった考え方から説明されます。
そのため、
「明日使えるテクニックを3つ知りたい」
という人には、遠回りに感じるでしょう。
一度で全部理解する必要はありません。
たとえば、
周囲への不満が増えているなら第1。
人生の方向に迷っているなら第2。
忙しいのに前へ進んでいないなら第3。
人間関係で悩んでいるなら第5。
というように、今の自分に必要な章から読み返す方法もあります。
良かったところ
テクニックで終わらない
本書は、
「こうすれば成功する」
という簡単な方法だけを提示しません。
自分は何を大切にするのか。
どんな人間でありたいのか。
という土台から考えます。
即効性はありません。
その代わり、仕事・家庭・人間関係など幅広い場面へ応用できます。
自分と他者の両方を扱う
第1~第3だけなら、自分を成長させる本です。
しかし『7つの習慣』はその先へ進みます。
人とどう関わるか。
相手をどう理解するか。
意見の違いをどう活かすか。
まで扱います。
自分一人の成功だけを目指していないところが、本書の大きな特徴です。
必要な章へ戻れる
一度ですべて実践するのは難しい本です。
しかし、読む時期によって気になる章が変わります。
仕事で迷っているとき。
人間関係で悩んでいるとき。
人生の方向を考え直したいとき。
そのとき必要な部分へ戻れる本です。
気になるところ
とにかく長い
要点だけを短時間で知りたい人には重いでしょう。
考え方の背景まで詳しく説明されるため、結論だけ早く知りたい人には回りくどく感じる部分もあります。
抽象的な部分もある
読んで納得しても、
「では明日、具体的に何をするのか」
がすぐ決まらない習慣もあります。
人格や原則は、チェックリストをこなせば身につくものではありません。
自分の場合はどうするのか。
考えながら読む必要があります。
読むだけでは身につかない
7つの習慣を理解することと、実践できることは別です。
「相手をまず理解する」
と分かっていても、意見がぶつかれば自分の主張を先に言いたくなります。
「重要なことを優先する」
と理解していても、目の前の仕事に追われます。
本書で難しいのは、読むことより習慣にすることでしょう。
こんな人におすすめ
特に向いているのは、次のような人です。
- 人生の方向を考え直したい
- 自分の判断軸を持ちたい
- 時間の使い方を見直したい
- 人間関係を改善したい
- 周囲に振り回されやすい
- リーダーとして人と関わっている
- 小手先ではない自己啓発書を読みたい
- 長く読み返せる本を探している
一方、
すぐ使えるテクニックだけ知りたい。
短時間で読み終えたい。
具体的な仕事術だけを求めている。
という人には、少し重い本です。
実践するなら一つから
7つすべてを一度に変える必要はありません。
まず一つ選んだ方が実践しやすいでしょう。
第1の習慣なら、
「今日、自分では変えられないことへの不満を一つ減らす」
第3の習慣なら、
「今週、本当に重要な予定を先に入れる」
第5の習慣なら、
「相手の話を途中で遮らず最後まで聞く」
といった小さな行動でも構いません。
理解する → 小さく試す → 振り返る
を繰り返す方が、本書を日常へ取り入れやすくなります。
また、
「環境が変わったとき、自分はどう動くのか」
というテーマを、もっと短い物語で考えたい場合は『チーズはどこへ消えた?』も読みやすい一冊です。
変化を受け入れ、次の一歩を踏み出すことについて考えたい方は、『チーズはどこへ消えた?』の要約・感想も参考にしてください。

感想まとめ
『完訳 7つの習慣』は、
成功テクニックを集めた本ではなく、自分自身の土台を整える本
です。
7つの習慣は、
- 主体的である
- 終わりを思い描くことから始める
- 最優先事項を優先する
- Win-Winを考える
- まず理解に徹し、そして理解される
- シナジーを創り出す
- 刃を研ぐ
という順番で進みます。
第1~第3で自分自身を整える。
第4~第6で他者と協力する。
第7で自分を継続的に磨く。
その根底にあるのが、表面的なテクニックより人格と原則を重視する考え方です。
521ページあるため、一気に読んですべて実践するのは難しいでしょう。
むしろ、
今の自分には、どの習慣が必要なのか。
そこを考え、必要な部分へ何度も戻る読み方が向いています。
仕事。
人間関係。
時間の使い方。
人生の方向。
こうしたことを一度根本から考えてみたい人にとって、長く使いやすい一冊です。
目先のテクニックではなく、仕事・人間関係・人生の土台となる考え方をじっくり学びたい方に向いています。


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