ビジネス書や自己啓発書を読んでいると、「いいことが書いてあるな」と思うことは多いものです。
しかし、数日後には内容をほとんど覚えていない。そんな経験はないでしょうか。
あつみゆりか著『今度こそなりたい自分になる! 1冊まるごと「完コピ」読書術』は、まさにその問題に真正面から向き合った一冊です。
本書が提案するのは、多くの本を読む「多読」ではなく、1冊の本を徹底的に使い倒す読書法。
つまり、本の内容を“理解する”だけでなく、“自分の行動として再現できるレベルまで落とし込む”という考え方です。
読書好きであればあるほど、ハッとさせられる一冊でした。
「完コピ読書術」とは何か
本書の中心となるのは、「完コピ読書術」というユニークな読書法です。
完コピとは、単に本の内容を覚えることではありません。
本に書かれている考え方や行動を、自分の生活や仕事の中で再現できるレベルまで落とし込むことを意味します。
多くの人は、読書をするとき「なるほど」と思って終わります。
しかし著者は、それでは意味がないと言います。
重要なのは、「この本の内容を自分が実際にやるならどうするか」を徹底的に考え、実践することなのです。
これは、受験勉強で参考書を何度も読み返し、完全に理解するまで繰り返す姿勢に近いものがあります。
ビジネス書や自己啓発書も、同じように向き合うべきだという考え方には強く共感しました。
師匠本を見つけるという発想
本書でまず提案されるのが「師匠本」を見つけることです。
師匠本とは、自分にとって人生の指針になるような本のこと。
世の中には無数の本がありますが、そのすべてを完コピする必要はありません。
本当に自分に影響を与える1冊を見つけ、その本を徹底的に読み込むことが大切だと著者は言います。
この考え方は非常に現実的です。多読をしていると、どうしても知識が浅く広くなりがちです。
しかし、人生を変えるような本というのは、実はそう多くありません。
だからこそ、その1冊を見つけて深く向き合うことに価値があるのです。
「滝行」「特訓」などユニークな実践ステップ
本書の特徴は、読書のプロセスを少年漫画の修行のように説明している点です。
まず、本を読みながら「なるほど」と思った部分にラベルをつけて整理します。
その後、「滝行」と呼ばれる作業で、自分の内面と向き合います。
つまり、その内容が自分の人生や仕事にどう関係するのかを深く考える時間です。
そして最後に「特訓」。
ここでは、本の内容を実際の行動に落とし込んでいきます。
つまり、「いいことが書いてあった」で終わるのではなく、日常生活の中で実践していく段階です。
この流れはとても分かりやすく、読書初心者にも取り入れやすい構成になっています。
漫画の修行のような表現も親しみやすく、堅苦しい自己啓発書とは違った読みやすさがあります。
読書との向き合い方を見直すきっかけになる本
本書は、読書にまだ慣れていない人向けに書かれている部分もあります。
しかし、長く読書を続けている人にとっても、読書との向き合い方を見直す良いきっかけになります。
特に印象的だったのは、著者が『もしドラ』を完コピして実際にマネジメントに活かしたというエピソードです。
本に書かれていることを「理論」として終わらせず、実際の行動にまで落とし込む姿勢は、まさに本書のメッセージそのものだと感じました。
読書は知識を増やすためのものだと思われがちですが、本書はそれだけではないと教えてくれます。
読書は人生を変えるためのツールになり得るということです。
まとめ|多読に疲れた人にこそ読んでほしい一冊
『今度こそなりたい自分になる! 1冊まるごと「完コピ」読書術』は、「たくさん読む読書」ではなく「人生を変える読書」を提案する本です。
多読が悪いわけではありませんが、何十冊読んでも何も変わらないのであれば、その読書は少しもったいないかもしれません。
本書は、1冊の本を徹底的に読み込み、自分の行動にまで落とし込む読書法を具体的に教えてくれます。
読書が好きな人ほど、「自分は本当に本を活かせているのだろうか」と考えさせられる一冊です。
もしあなたが、読書を単なる趣味で終わらせたくないと思っているなら、本書はきっと新しい読書の視点を与えてくれるでしょう。


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