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『謎解きはディナーのあとで3』感想・あらすじ|6編の見どころ【後半ネタバレあり】

『謎解きはディナーのあとで3』感想・あらすじ|6編の見どころ【後半ネタバレあり】

『謎解きはディナーのあとで』も、いよいよ3巻。

1巻、2巻と読んできた人なら、

「3巻も同じような感じなのかな?」

「さすがに少しマンネリしてこない?」

と気になるかもしれません。

私も読み始める前は、そのあたりが少し気になっていました。

麗子と風祭警部が事件を捜査し、行き詰まった麗子が執事の影山に相談する。そして影山が毒舌を交えながら、事件の真相に迫っていく。

シリーズを読んできた人には、すでにおなじみの流れです。

それでも3巻を読んでみると、不思議と飽きませんでした。

事件そのものだけでなく、

「今回は影山が何を言うのだろう」

「麗子はまた怒るのかな」

と、三人のやり取りまで楽しみになっていたからだと思います。

しかも3巻では、これまでと少し違う空気を感じる場面もあります。

この記事では、前半で『謎解きはディナーのあとで3』のあらすじや収録作品、実際に読んだ感想をネタバレなしで紹介します。

後半では物語の展開にも少し触れますが、犯人の名前やトリックの核心部分は明かしません。

これから読むか迷っている方は、まず前半だけでも参考にしてみてください。


『謎解きはディナーのあとで3』とは?

『謎解きはディナーのあとで3』は、東川篤哉さんによる「謎解きはディナーのあとで」シリーズの第3弾です。

主人公の宝生麗子は、国立署で働く刑事。

しかし本当は、世界的企業グループ「宝生グループ」の令嬢でもあります。

職場ではそのことを隠しながら、上司である風祭警部と事件を捜査しています。

そして、麗子が事件の謎を解けずに困ったときに頼るのが執事の影山です。

影山は事件現場を直接見ていなくても、麗子の話を聞くだけで矛盾や見落としを見つけ出します。

ただし、主人である麗子に対して遠慮する様子はほとんどありません。

丁寧な口調のまま、麗子の推理を容赦なく否定する。

麗子は怒る。

それでも最後には影山の話を聞く。

このやり取りがシリーズの大きな魅力です。

そこに、自信満々なのにどこかズレている風祭警部が加わることで、事件を扱うミステリーでありながら、重くなりすぎない独特の雰囲気が生まれています。


『謎解きはディナーのあとで3』のあらすじ【ネタバレなし】

3巻でも基本的な流れはこれまでと変わりません。

麗子と風祭警部が事件を捜査するものの、なかなか真相にたどり着けない。

そして自宅に戻った麗子が、ディナーを前に影山へ事件の状況を説明します。

すると影山は、麗子たちが気づかなかった小さな違和感を見つけ、事件を別の角度から見直していきます。

単行本に収録されているのは、次の6編です。

  • 犯人に毒を与えないでください
  • この川で溺れないでください
  • 怪盗からの挑戦状でございます
  • 殺人には自転車をご利用ください
  • 彼女は何を奪われたのでございますか
  • さよならはディナーのあとで

一話ごとに事件が完結する短編形式なので、

「今日は一話だけ読もう」

という読み方もしやすいです。

なお、小学館文庫版やジュニア文庫版には、『名探偵コナン』とのコラボ短編「探偵たちの饗宴」も追加収録されています。

購入する版によって収録内容が異なる点には注意してください。


『謎解きはディナーのあとで3』収録6編のあらすじと見どころ【ネタバレなし】

犯人に毒を与えないでください

恋ヶ窪の屋敷で、老人が死亡しているのが発見されます。

死因は毒物。

さらに、死の直前には飼っていた猫が姿を消していました。

自殺なのか、それとも誰かに殺されたのか。

一見すると事件とは関係なさそうな事実が、影山の推理によって少しずつ意味を持ちはじめます。

私はこうした、

「最初は何でもないと思っていた情報が、実は重要だった」

というタイプの謎が好きです。

派手な仕掛けよりも、小さな違和感を拾い上げていく影山の強さがよく分かる一編でした。


この川で溺れないでください

多摩川付近で男性の遺体が発見されます。

死因は溺死。

ところが奇妙なことに、遺体はほとんど濡れていません。

「溺れて亡くなったのに、なぜ?」

という疑問から事件は始まります。

タイトルを見ただけでも少し気になりますが、実際に読んでみると、現場に残された違和感が重要になってきます。

私は読みながら、

「何か見落としているんだろうな」

と思いつつも、なかなか答えにはたどり着けませんでした。

影山の説明を聞いたあとに振り返ると、それまで何気なく読んでいた部分が違って見えてきます。


怪盗からの挑戦状でございます

殺人事件が続く中、少し雰囲気が変わるのがこの一編です。

麗子のもとに怪盗から予告状が届き、宝生家にある美術品が狙われます。

普段は刑事として事件を追う麗子ですが、今回は舞台が自分の家。

しかも職場の人間には、自分が宝生家の令嬢であることを知られたくありません。

そのため、いつもとは少し違った緊張感があります。

怪盗、予告状、秘宝。

この言葉だけでも、昔ながらの探偵物らしいワクワク感があります。

3巻の中では、気分を変えて読める一編でした。


殺人には自転車をご利用ください

資産家の女性が殺害されます。

そして遺体は、子ども用の椅子に座らされたような奇妙な状態で発見されます。

なぜ、そんな不自然な状態になっているのか。

さらに容疑者として浮かび上がった人物には、簡単には崩せそうにないアリバイがあります。

タイトルにもある通り、「自転車」が事件を考えるうえで大きな意味を持っています。

最初に状況を読んだとき、私が気になったのは、

「なぜわざわざ、そんなことをしたのだろう?」

という点でした。

ミステリーでは、不自然な行動にはたいてい理由があります。

その理由を考えながら読むのが面白い作品です。


彼女は何を奪われたのでございますか

若い女性の遺体が発見されます。

奇妙なのは、被害者が身につけていた複数の物が持ち去られていることです。

普通に考えれば、

「金目の物を盗んだのでは?」

と思ってしまいます。

ところが、持ち去られた物を見ていると、それだけでは説明しにくい部分があります。

そこで重要になるのが、タイトルにもなっている、

「彼女は何を奪われたのか?」

という問いです。

目の前にある情報をすべて同じように重要だと思ってしまうと、かえって真相が見えにくくなる。

必要な情報だけを整理していく影山の推理が印象に残りました。


さよならはディナーのあとで

タイトルを見たとき、

「誰と誰の“さよなら”なのだろう?」

と少し気になった作品です。

事件そのものはもちろんあります。

ただ、この話で印象に残るのは事件だけではありません。

麗子、影山、風祭警部。

これまで当たり前のように一緒にいた三人の関係にも、少し変化が見えてきます。

1巻から読んできた人ほど、このタイトルを見たときと読み終わったあとの印象が変わるのではないでしょうか。

私は読み終えたあと、ほかの5編とは少し違った余韻が残りました。

詳しくは後半のネタバレあり部分で触れます。


文庫版には『名探偵コナン』とのコラボ短編も収録

文庫版やジュニア文庫版には、『名探偵コナン』とのコラボ短編「探偵たちの饗宴」が収録されています。

江戸川コナンと影山が同じ事件に挑むという、シリーズ読者には少し特別感のある作品です。

『名探偵コナン』も好きな人なら、この短編を目当てに文庫版を選ぶのもよいと思います。

ただし、単行本と文庫版では収録内容が異なるため、購入前に確認しておくことをおすすめします。


『謎解きはディナーのあとで3』を読んだ率直な感想【ネタバレなし】

3巻を読み終えてまず感じたのは、

「結局、この三人のやり取りが好きなんだな」

ということでした。

事件の基本的な流れに、大きな変化があるわけではありません。

それでも読み進めてしまう。

その理由は、いつの間にか事件の真相だけを追っていなかったからだと思います。

影山がどんな毒舌を言うのか。

麗子がどんな反応をするのか。

風祭警部がまた何かズレたことを言うのか。

そんな部分まで含めて、一つの楽しみになっていました。

1巻を読んだ頃は、どちらかといえば「犯人は誰だろう」と考えながら読んでいました。

ところが3巻になると、事件だけではなく登場人物そのものを楽しむようになっています。

シリーズを続けて読むことで、読み方まで少し変わってきたように感じました。


3巻で特に良かったところ

影山と麗子の掛け合いはやはり面白い

3巻でも影山は相変わらずです。

執事としては完璧なのに、推理の話になると主人である麗子に対してもまったく遠慮しません。

丁寧な言葉遣いのまま、かなり失礼なことを言う。

普通なら腹が立ちそうですが、影山が言うとなぜか笑えてしまいます。

そして麗子も黙ってはいません。

怒りながらも、最後には影山の話を聞く。

この二人の距離感は、3巻になっても変わらない魅力でした。


風祭警部がいると会話がさらに賑やかになる

風祭警部は、自信満々です。

本人は真剣なのに、麗子から見ると少しズレている。

このズレが作品の笑いにつながっています。

ただ、3巻まで読むと、

「風祭警部が出てくると、また始まったな」

と、こちらまで慣れてきます。

事件を解決する能力だけで考えれば影山のほうが目立ちますが、物語の雰囲気を作っているという意味では、風祭警部も欠かせない存在だと思います。

後半では、この風祭警部への印象が少し変わりました。


一話ずつ気軽に読める

一話完結型なのも、このシリーズの大きな魅力です。

長編ミステリーのように、何百ページも登場人物や伏線を覚えながら読み続ける必要はありません。

一つの事件を読み終えたところで本を閉じても問題ありません。

「今日は少しだけ本を読みたい」

というときでも読みやすいです。

ミステリーを読みたいけれど、あまり重い作品を読む気分ではない。

そんなときに手に取りやすい一冊だと思います。


1巻・2巻と比べて3巻はどうだった?

基本の面白さは大きく変わらない

3巻になっても、シリーズの基本構造はほとんど変わりません。

そのため、1巻・2巻の雰囲気が好きだった人なら、安心して読めると思います。

反対に、

「そろそろ大きく展開を変えてほしい」

と感じていた人には、前半は少し似た印象を受けるかもしれません。

私は多少のマンネリ感はありました。

ただ、それ以上に、

「このシリーズはこの形でいい」

とも思いました。

ドラマや漫画でも、毎回ある程度決まった流れがある作品があります。

それでもお気に入りの登場人物を見たくて続けてしまう。

『謎解きはディナーのあとで』も、それに近い作品だと思います。

3巻ではシリーズの節目を感じる

3巻がこれまでと少し違うのは、事件以外の部分にも動きがあることです。

とくに終盤。

麗子、影山、風祭警部の三人が、ずっと同じ状態のままではないことを感じさせられます。

ここが3巻を単なる「いつもの短編集」だけで終わらせていない部分でした。

2巻については『謎解きはディナーのあとで2』の感想・あらすじでも詳しく紹介しています。

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『謎解きはディナーのあとで3』はこんな人におすすめ

3巻は、次のような人に向いていると思います。

  • 1巻・2巻を楽しめた人
  • 影山と麗子の掛け合いが好きな人
  • 難しすぎないミステリーを読みたい人
  • 一話ずつ気軽に読める作品を探している人
  • シリアス一辺倒ではなく、笑えるミステリーが好きな人

とくに1巻・2巻を楽しめた人なら、3巻も大きく期待を裏切られることは少ないでしょう。

一方で、複雑なトリックや重厚な人間ドラマを最優先したい人には、少し軽く感じるかもしれません。

このシリーズは、事件の謎だけではなく、登場人物たちの会話まで含めて楽しむ作品です。

そこが合うかどうかで、評価は変わると思います。

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『謎解きはディナーのあとで3』は3巻から読んでも大丈夫?

一つひとつの事件は基本的に独立しているため、3巻から読んでも事件そのものは理解できます。

ただ、個人的には1巻から読むことをおすすめします。

理由は、事件の謎以上に、

麗子・影山・風祭警部の関係が積み重なっていく面白さ

があるからです。

とくに3巻の終盤は、それまで三人を見てきたからこそ感じるものがあります。

「とりあえず3巻だけ読みたい」

という人でも楽しめますが、時間があるなら1巻→2巻→3巻の順番で読んだほうが、このシリーズの魅力は伝わりやすいでしょう。

シリーズを最初から読む方はこちら

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ここからネタバレあり

ここからは『謎解きはディナーのあとで3』を読み終えた人向けです。

物語の展開や登場人物の変化には触れます。

ただし、犯人の名前やトリックの核心部分については書きません。

未読の方は、この先を飛ばして「まとめ」へ進んでください。


【ネタバレあり】特に印象に残った3つの話

「怪盗からの挑戦状でございます」は雰囲気の違いが楽しい

この話は、ほかの作品とは少し雰囲気が違います。

いつもの殺人事件ではなく、怪盗からの予告状という設定です。

しかも舞台は宝生家。

普段は刑事として事件を追う麗子が、自分の家で事件に巻き込まれるというのも新鮮でした。

「本当に狙われているものは何なのか」

「どうすれば多くの人の目をすり抜けられるのか」

と考えながら読む楽しさがあります。

3巻の中にこうした一編が入っていることで、全体にも変化が生まれていました。


「殺人には自転車をご利用ください」は奇妙な状況が面白い

この話でまず頭に残ったのは、遺体の状態でした。

なぜ、わざわざそんな不自然なことをする必要があったのか。

ミステリーを読んでいると、不自然な行動には、

「そうせざるを得なかった理由」

が隠されていることがあります。

この作品も、まさにそのタイプでした。

自転車という身近な物と、一見すると意味の分からない状況。

二つがどうつながるのかを考えるところが面白かったです。

ここでは答えは書きませんが、読み終えたときには、

「なるほど、だからだったのか」

と納得できました。


「さよならはディナーのあとで」は事件以上に人物が印象に残る

3巻を読み終えたあと、一番頭に残ったのは「さよならはディナーのあとで」でした。

理由は、事件そのものよりも、風祭警部を取り巻く状況に変化が訪れるからです。

これまで麗子の上司として当たり前のように登場していた風祭警部。

迷推理を披露したり、自信満々に振る舞ったりする姿は、すでにシリーズの日常になっていました。

だからこそ、その日常が変わろうとすると、

「いなくなると寂しいな」

と思ってしまいます。

最初の頃は、こんな感情を持つとは思っていませんでした。

3冊読み続けたことで、こちらも三人の関係に慣れていたのでしょう。

これは短編集を一冊だけ読むのとは違う、シリーズものならではの楽しさだと思います。


【ネタバレあり】影山・麗子・風祭の関係をどう感じたか

影山と麗子は、ただの主人と執事ではない

影山と麗子は、主人と執事です。

ただ、3巻まで読むと、それだけでは少し説明しにくい関係になっています。

影山は麗子に対して容赦がありません。

普通の執事なら言わないようなことまで平然と言います。

それでも麗子は、本当に困ったときには影山へ事件の話をします。

腹を立てながらも、結局は信頼しているのでしょう。

影山も毒舌ばかりですが、麗子が危険な目に遭えば知らん顔をするような人物ではありません。

無理に恋愛関係として考えなくてもいいと思います。

主人と執事という形を保ちながら、その奥にはしっかりとした信頼がある。

私はその距離感が、この二人の魅力だと感じています。

風祭警部は「いなくなって初めて分かる」存在だった

風祭警部は、推理力だけでいえば影山にはかないません。

しかし物語として考えると、風祭警部も必要です。

風祭警部が何か言う。

麗子が心の中で突っ込む。

そして最後に影山が事件を整理する。

それぞれ役割が違うからこそ、三人がそろったときの会話にリズムが生まれます。

3巻の終盤で風祭警部を取り巻く状況が変わり、逆にその存在の大きさが分かりました。

普段は少しうるさい。

でも、いなくなると寂しい。

そんなキャラクターです。


『謎解きはディナーのあとで3』感想まとめ

『謎解きはディナーのあとで3』は、1巻・2巻で作られてきたシリーズの魅力を、しっかり引き継いだ一冊でした。

影山の毒舌。

麗子の怒り。

風祭警部の少しズレた言動。

3巻になっても、この三人の掛け合いは健在です。

基本的な流れには慣れてきます。

それでも私は、

「またこの三人を読みたい」

と思いました。

そして3巻では、ただ同じことを繰り返すだけではなく、終盤に三人の関係を少し揺らす展開もあります。

とくに「さよならはディナーのあとで」を読み終えたあとには、笑えるミステリーを読んだはずなのに、少し寂しさが残りました。

1巻・2巻が好きだった人なら、3巻も楽しめる可能性は高いと思います。

難しすぎるミステリーではなく、キャラクターの会話を楽しみながら気軽に謎解きをしたい人にもおすすめできる一冊です。

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