※上記は紙媒体の書籍です。
毎日、正解のない変化の中でチームや組織を率いるのは、本当に身が削れるようなプレッシャーですよね。
「もっと新しい挑戦をしろ」と上層部から詰められる一方で、現場は日々の既存業務で手一杯。
悩んだ末に新しいビジョンや目標を熱く語りかけても、部下たちの反応はどこか冷ややかで、誰の心にも響いていない気がする……。
そんな「組織のバラバラ感」や、リーダーとしての深い「孤独」に、一人で頭を抱えて夜を過ごしていませんか?
そんなあなたに、今こそ心を落ち着けて読んでほしい一冊が、ジャーナリストの池上彰氏と、世界的な経営学者である入山章栄氏の対話から生まれた『宗教を学べば経営がわかる』です。
一見、冷徹なビジネスの世界とは無関係に思える「宗教」というテーマ。
しかし、何百年、何千年も人々を突き動かし、一致団結させてきた宗教の中にこそ、今のあなたが喉から手が出るほど欲しい「人の心を動かし、バラバラな組織を一つにする究極のヒント」が隠されているのです。
組織を動かす鍵は「納得感」にあり:人が自発的に動くのは「ロジック」ではなく「腹落ち」したときである
メンバーが迷わずに同じ方向を向き、自ら熱量を持って動き出す組織を作るためには、リーダーであるあなたが「心から納得できる意味(ストーリー)」を提示することが何よりも重要です。
考えてみてください。
私たちは機械ではなく、感情で動く生き物です。
明日何が起こるか分からない不安な現代において、「売上目標」や「効率性」といった無機質な数字だけを提示されても、行動を起こすためのエネルギーは湧いてきません。
経営学ではこれを「センスメイキング(納得性)理論」と呼びますが、どれほど立派な計画書があっても、働く本人が「自分たちの仕事にはこれだけの価値がある」と心の底から納得していなければ、組織のエンジンはかからないのです。
本書で紹介されているキリスト教カルヴァン派の「予定説(誰が神に救われるかは最初から決まっている)」は、まさにこの「納得のシステム」を極限まで高めた仕組みでした。
一見すると不条理で過酷な教えです。
しかし当時の人々にとっては、「自分は神に選ばれた人間だと信じたい。
だから今、目の前の仕事を懸命に頑張り、成功を収めてそれを証明するんだ」という強烈な物語に変わりました。
この凄まじい「腹落ち」が、結果として近代資本主義の礎を築くほどの強大なエネルギーを生み出したのです。
もしあなたが今、「チームの足並みが揃わない」と胃を痛めているなら、精緻な売上計画を何度も語るのを一度やめてみましょう。
まずはメンバー全員が「なぜ、私たちがこの仕事をやるのか」を深く納得し、魂で共感できるような、熱いストーリーを語りかけることこそが、組織を動かす最初の鍵なのです。
新しい挑戦を支えるのは「存在意義」である:心折れるイノベーションの旅には、絶対的な「拠り所」が欠かせない
もしあなたが、社内で新しいアイデア(イノベーション)が生まれず、既存事業の縮小コピーばかりが繰り返されていることに焦りを感じているなら、まず組織の「パーパス(社会的意義)」を定義し直す必要があります。
イノベーションを起こすためには、経営学で言う「両利きの経営」が必須であり、これには既存事業を深掘りする「知の深化」だけでなく、自社とは遠い分野の新しい組み合わせを泥臭く探す「知の探索」が必要です。
しかし、この「知の探索」は失敗の連続であり、誰もが途中で心が折れそうになる過酷な旅です。
人間は、ただ「会社を儲けさせるため」だけのために、失敗のリスクを背負って暗闇を走り続けることはできない生き物だからです。
歴史を振り返ると、アメリカを開拓したピューリタン(清教徒)たちは、疫病や厳しい自然環境による死の恐怖に直面した際、聖書を一字句信じる強固な信仰を盾にして、過酷な「探索」を生き抜きました。
現代のビジネスにおける「パーパス経営」とは、まさにこの暗闇を照らす「現代の信仰」そのものです。
「私たちはこの社会に何をもたらすために存在するのか」という絶対的な心の拠り所があるからこそ、メンバーは失敗の恐怖を乗り越え、未知の領域へと旅立つ勇気を持てるのです。
つまり、イノベーションを生み出したいのであれば、小手先の発想法を部下に学ばせるのではなく、たとえ失敗してもなお挑み続ける価値があると全員が信じられる「企業の存在意義」を、リーダーであるあなたが言葉を尽くして言語化することが先決なのです。
世界を理解する最大の地図は「宗教」である:歴史と地政学のバックボーンを知ることで、未来の市場は具体的に見えてくる
これから新しい市場の開拓や、全く新しい領域でのビジネス(知の探索)を考えているなら、現地の経済指標よりもまず、その土地を形作る「宗教的バックボーン」を深く学ぶべきです。
人と組織がどう考え、どう行動するかを究明する学問が経営学ですが、人間の行動規範や「善悪の判断」の最深部にあるのは、法律ではなく、彼らが幼い頃から信じてきた宗教の精神性や戒律だからです。
これを無視してビジネスを展開しようとしても、相手の「当たり前」を理解できず、深い信頼関係を築くことは絶対にできません。
たとえば、米国ビジネスにおける「徹底した契約社会」や個人主義は、ピューリタンの「神と自分の一対一の対話」や「他人が本当に救われているか不明だから信用できない」という、厳しい不信の歴史から生まれた防衛策です。
また、2030年に世界人口の4分の1(22億人)に達するイスラム市場を開拓するには、「すべてを神に委ねる(インシャアッラー)」という、何が起きても動じない彼らの精神世界を深くリスペクトしなければ、決して受け入れられません。
世界のマーケットを動かす人々の本質は、すべて宗教という「歴史の地図」に描かれています。
このように、世界で通用する本物のビジネスリテラシーを身につけ、遠い分野での「知の探索」を成功させるためには、その土地に深く根を張る宗教の歴史を学ぶことが、実は最も効率的で強力な近道になるのです。
今日から始めるべき最初の一歩:「存在意義」をあなたの言葉で語り、メンバーの心を「今」に引き戻そう
リーダーであるあなたが明日から真っ先に行うべきなのは、メンバーに対して「私たちがここに存在する理由」を、あなた自身の温かい血の通った言葉で語りかけることです。
なぜなら、過去の後悔や未来の不安に心が囚われ、バラバラになっている組織の目を覚まし、「今、ここ」の挑戦に引き戻すことができるのは、リーダーが放つ「私たちは何のためにここにいるのか」という熱量のある納得の言葉(センスメイキング)だけだからです。
どんなに素晴らしい計画も、最初の一歩を踏み出す瞬間こそが、人と組織の魂が最も喜ぶ瞬間であり、行動なきところに変化は訪れません。
イスラム教徒が「すべては神のなせること」と受け入れることで、いかなる激動の中でも穏やかに「今日、この瞬間」を生きているように、優れたリーダーはメンバーの意識を「不安な未来」から「今できる最善の行動」へと引き戻します。
本書の対話が私たちに教えてくれるのは、経営とはシステムを管理することではなく、究極の「人間理解」であり「心のケア」であるという、温かい真実です。
だからこそ、焦って新しいビジネスプランを作る前に、まずはメンバーを目の前にして、ゆっくりと語りかけてみてください。
「私たちは、この社会をこう良くするために集まった仲間だ。だから、安心して挑もう」と。
その腹落ち感こそが、あなたの組織を「1000年続く宗教」のように強固で、しなやかな不沈艦へと変える、最強の第一歩になります。
※上記は紙媒体の書籍です。


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