
「ゼロで死ね」。
『DIE WITH ZERO』というタイトルだけを見ると、かなり極端な本に思えます。
老後のことなど気にせず、貯めたお金を全部使ってしまえばいい。
そんな内容を想像する人もいるかもしれません。
しかし、実際に読んで強く残ったのは、「貯金をゼロにする方法」ではありませんでした。
むしろ、
お金には、使うのに適したタイミングがある。
という考え方です。
若いときだから楽しめる旅行があります。
健康だから挑戦できることがあります。
家族や友人と一緒に過ごせる時間にも限りがあります。
それなのに、
「もう少しお金が貯まってから」
「仕事が落ち着いてから」
と先送りしているうちに、その経験ができる時期そのものを逃してしまうかもしれません。
この指摘はシンプルですが、かなり刺さります。
一方で、
「理屈は分かる。でも実際にお金を使っていくのは簡単ではないだろう」
とも感じる内容です。
この記事では、『DIE WITH ZERO』の内容を簡単に要約しながら、印象に残った考え方や、「ゼロで死ぬ」という考え方をどこまで現実の生活に取り入れられるのかについて紹介します。
※本記事は書籍の感想・紹介です。個別の資産運用や老後資金について助言するものではありません。
『DIE WITH ZERO』とは?
『DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール』は、ビル・パーキンスさんによる、お金と人生の使い方をテーマにした本です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 書名 | DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール |
| 著者 | ビル・パーキンス |
| 訳者 | 児島修 |
| 出版社 | ダイヤモンド社 |
| 発行 | 2020年9月 |
| ページ数 | 280ページ |
タイトルの「DIE WITH ZERO」を直訳すると、「ゼロで死ぬ」。
かなり強い言葉です。
ただし、本書がすすめているのは、何も考えずにお金を使ってしまうことではありません。
限られたお金、時間、健康を使いながら、人生から得られる経験をできるだけ大きくする。
そこに本書の中心的な考え方があります。
『DIE WITH ZERO』を一言で要約すると?
一言でまとめるなら、
「お金を最大化することより、人生を最大化するためにお金を使おう」
という本です。
私たちは将来のためにお金を貯めます。
もちろん、貯蓄そのものが悪いわけではありません。
問題になるのは、
「いつ、何のために使うのか」
を考えないまま、貯めること自体が目的になってしまうことです。
たとえば、若いうちに行ってみたい場所がある。
体力がある間に挑戦したいことがある。
家族や友人と一緒にやってみたいことがある。
それらを何十年も先送りしてしまえば、お金が十分に貯まったときには同じ経験ができなくなっている可能性があります。
だからこそ本書は、お金そのものよりも、
「そのお金を何に変えるのか」
を考えるよう促してきます。
『DIE WITH ZERO』を読んで印象に残った3つの考え方
今しかできない経験にお金を使う
特に印象に残ったのが、
経験には適した時期がある
という考え方です。
旅行なら、老後になってからでも行けるかもしれません。
しかし、20代で行く旅行と70代で行く旅行は同じではありません。
体力も違えば、興味も変わります。
一緒に行く人も、そのときには変わっているかもしれません。
どれだけお金があっても、過ぎた時間を買い戻すことはできません。
「いつかやろう」という言葉は便利です。
今やらなくても、未来の自分に任せることができるからです。
しかし、その「いつか」が必ず来るとは限りません。
だからこそ、やりたいことには「いくら必要なのか」だけではなく、
「いつまでならできるのか」
という視点も必要になります。
お金の使い方だけでなく、時間の使い方まで考えさせられる部分でした。
「思い出の配当」という考え方
もう一つ印象に残ったのが、「思い出の配当」です。
経験は、その瞬間だけ楽しんで終わるわけではありません。
たとえば旅行へ行けば、旅行中に楽しむことができます。
その後も写真を見たり、一緒に行った人と話したり、何年か経ってから思い出したりできます。
一度の経験が、その後も何度も楽しさを返してくれる。
本書では、これを「思い出の配当」として捉えています。
お金を使えば、預金残高は減ります。
しかし、そのお金が経験に変われば、すべてが消えてしまうわけではありません。
思い出という別の形で残り、その後の人生でも何度か味わうことができます。
お金を「使ったからなくなった」とだけ考えるのではなく、
「何に変わったのか」
で考える視点は、本書の中でも印象に残るところです。
お金だけでなく、時間と健康も減っていく
資産形成を考えるときは、
「お金をどれだけ増やせるか」
に目が向きやすくなります。
しかし、『DIE WITH ZERO』では、お金だけを見ていません。
人生を楽しむには、時間と健康も必要です。
しかも、お金と違って時間は後から増やすことができません。
健康についても、今と同じ状態がずっと続くとは限りません。
お金が最も多くなったときに、時間と健康まで十分に残っているとは限らないわけです。
そのため、
お金・時間・健康の3つがそろっている時期に何をするのか
を考える必要があります。
「もっと貯まってから」と考え続けることにも、見えにくい代償があるのだと思わされます。
「ゼロで死ね」は本当に実践できる?
ここまで読むと、
「では、貯金をどんどん使えばいいのか」
と思うかもしれません。
ただ、本書の考え方をそのまま実践するのは簡単ではないでしょう。
分かっていても、お金を使うのは難しい
本書を読みながら感じたのは、
分かっていても、できない人は多いだろう
ということです。
将来には、仕事や病気、家族の事情、老後など、予測できないことがあります。
そう考えると、ある程度のお金を手元に残しておきたいと思うのは自然です。
また、長く貯蓄を続けてきた人ほど、資産残高が減っていくこと自体に不安を感じるかもしれません。
そのため、
「経験のためにもっと使おう」
と頭では理解できても、実際の行動まで変えるのは簡単ではありません。
この本の考え方が分かることと、実際に資産を減らしていけることは別なのだと思います。
生活に余裕がない人には、そのまま当てはめにくい
もう一つ気になるのは、誰にでも同じように当てはめられる考え方ではないことです。
毎月の生活費を確保するだけでも大変な状態なら、
「今しかできない経験にもっとお金を使おう」
と言われても、簡単にはできません。
日々の生活費だけでなく、急な出費への備えや、将来必要になるお金もあります。
置かれている状況は人によって違います。
だからこそ、本書に書かれている内容を、
「すべてこの通りに実践しなければならない」
と考える必要はないと思います。
それでも、
「自分は貯めることだけに偏りすぎていないか?」
と一度考えてみる価値はあります。
「全部貯める」か「全部使う」かではなく、その間で自分なりのバランスを探す。
そのくらいの受け止め方の方が、現実には取り入れやすいのではないでしょうか。
「本当にゼロにすること」だけが目的ではない
『DIE WITH ZERO』というタイトルのインパクトが強いため、
「最後に1円も残してはいけない」
という本のように受け取ってしまうかもしれません。
しかし、重要なのはそこだけではありません。
むしろ考えたいのは、
お金を残しすぎたことで、やりたかったことまで残してしまわないか
ということです。
人生の最後にいくら残るのかを正確に調整することは難しいでしょう。
それよりも、
「やってみたかったのに、お金を使うことが怖くて諦めた」
ということを少しでも減らす。
その考え方なら、実際の生活にも取り入れやすくなります。
「タイムバケット」はすぐ試せる
本書の中で、比較的実践しやすいと感じるのが「タイムバケット」です。
やりたいことを、
「いつかやりたい」
のままにしておかず、人生のどの時期にやるのかを考えます。
たとえば、海外旅行やスポーツ、新しい学び、家族との旅行など、やってみたいことを書き出します。
そして、
「これは40代までにやりたい」
「これは60代でもできそうだ」
というように、おおまかな時期へ振り分けていきます。
実際に書き出してみると、
「これは老後まで待たない方がよさそうだ」
と気づくものも出てくるはずです。
資産を本当にゼロまで使い切ることには抵抗があっても、
やりたいことに期限をつけてみる
ことなら始めやすいでしょう。
『DIE WITH ZERO』の考え方を何か一つ試すなら、タイムバケットは取り入れやすい方法です。
『DIE WITH ZERO』がおすすめな人・合わないかもしれない人
『DIE WITH ZERO』は、将来が不安でお金を使うことに抵抗がある人や、貯蓄を優先してやりたいことを後回しにしている人に向いています。
「いつかやりたい」と思っていることが増えてきた人や、人生後半のお金の使い方を考え始めた人にも、考えるきっかけを与えてくれる本です。
反対に、具体的な投資方法や節約術を知りたい人には、期待している内容とは少し違うかもしれません。
また、現在の生活費を確保するだけでも余裕がない場合には、すぐ実践できる内容ばかりではありません。
本書は、資産運用のテクニックを教えるというより、
「そもそも何のためにお金を貯めているのか」
を考え直す本です。
そこに興味を持てる人ほど、得るものが多いと思います。
『DIE WITH ZERO』の考え方をもう少し詳しく知りたい方は、書籍の詳細や読者レビューを確認してみてください。

『DIE WITH ZERO』と一緒に読みたい本
お金との付き合い方を別の方向から考えるなら『お金の取扱説明書』
お金をどう増やすかだけではなく、どう付き合い、どう使うのか。
その部分に興味を持った人には、『借金2000万円を抱えた僕にドSの宇宙さんが教えてくれた お金の取扱説明書』もあります。
作品の方向性は大きく違いますが、
お金に対する考え方そのものを見直す
という点では共通しています。
『DIE WITH ZERO』を読んで、「自分はお金をどう捉えているのだろう」と考えた人なら、あわせて読んでみるのもよいでしょう。

まとめ|「いくら残すか」より「何に使ったか」を考えさせられる本
『DIE WITH ZERO』は、単純にお金を使い切ることをすすめる本ではありません。
読んで特に残るのは、
「お金をいつ、何のために使うのか」
という問いです。
貯金は大切です。
将来への備えも必要です。
ただ、貯めることばかりを優先しているうちに、今しかできないことを逃してしまえば、それも一つの損失になります。
若いからできること。
健康だからできること。
今一緒にいる人だからできること。
経験にも、適した時期があります。
本当に「ゼロで死ぬ」ことを目指すかどうかは、人それぞれでよいと思います。
それでも、
「このまま貯め続けるだけでいいのか」
「自分は何のためにお金を貯めているのか」
と考えるきっかけになります。
お金を増やす方法だけではなく、
限られた人生の中で、そのお金を何に使うのか。
そこを考えてみたい人に向いている一冊です。
『DIE WITH ZERO』が気になった方は、書籍の詳細や読者レビューを確認してみてください。



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