
「メモの取り方について書かれた本なんだろう」
『メモの魔力』を読む前、私はそんなイメージを持っていました。
仕事中に忘れないように書くメモだったり、アイデアを残しておくためのメモだったり。もう少し効率よくメモを取る方法が分かればいいかな、くらいの感覚です。
ところが、実際に読んでみると少し違いました。
もちろんメモについて書かれた本ではあるのですが、読み進めるうちに、
「これはメモ術というより、自分の頭の中を掘り下げていく本なのではないか」
と思うようになりました。
特に私が気になったのが、
- ファクトから抽象化し、転用する考え方
- 自分自身について深く考える自己分析
- 巻末に用意されている自己分析1000問
です。
1000問と聞くと、さすがに「これは多いな……」と思いました。
私もいきなり1000問すべてに挑戦したわけではありません。まずは最初の10問から取り組んでみました。
すると、質問そのものに答えることよりも、「なぜ自分はそう思うのか」を考えることのほうが難しいことに気づきました。
この記事では、『メモの魔力』を読んだ感想だけではなく、実際に自己分析をやってみて感じたことも含めて紹介します。
『メモの魔力』を読んだ結論|メモ術より「自分を知る本」だった
私が読み終わって一番強く感じたのは、
『メモの魔力』は、単にメモを上手に取るための本ではない
ということです。
むしろ、
「自分は何を考えているのか」
「なぜそう思うのか」
「その経験から何を学べるのか」
といったことを、メモを使って掘り下げていく本だと感じました。
正直に言えば、最初はもっと簡単なメモ術を想像していました。
「こういうノートを使うといい」
「このように書けば忘れにくい」
といったノウハウを期待していた部分もあります。
しかし、実際にはもっと頭を使います。
だからこそ、読んだだけで終わる本というより、自分でも手を動かして初めて面白さが分かる本なのだと思います。
考えていることを整理する方法に興味がある方は、『思考の整理学』の書評も参考にしてみてください。

『メモの魔力』とは?前田裕二さんの本を簡単に紹介
『メモの魔力』は、前田裕二さんによる「メモ」をテーマにした本です。
ただし、先ほども触れたように、単なるメモのテクニックを紹介する本ではありません。
日常で起きた出来事や気づきをそのまま記録するだけではなく、そこから、
「これは他のことにも応用できないだろうか?」
と考えることが大きな特徴です。
私自身、これまでメモといえば「忘れないように書いておくもの」という認識がかなり強くありました。
買うものを書く。
仕事で言われたことを書く。
あとで調べたいことを書く。
これももちろんメモです。
しかし『メモの魔力』では、そこからもう一段深く考えていきます。
その中心になるのが、
ファクト → 抽象化 → 転用
という考え方です。
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『メモの魔力』で特に印象に残った3つのこと
① メモは「記録するため」だけのものではなかった
私にとって一番大きかったのは、メモに対する考え方が少し変わったことです。
これまでは、
「忘れないために書く」
という意味合いがほとんどでした。
もちろん、それだけでもメモには十分な価値があります。
ただ、本書では、書いた出来事を材料にしてさらに考えていきます。
たとえば、何かうまくいったことがあったとします。
普通なら、
「今日は○○がうまくいった」
と書いて終わります。
しかし、そこで、
「なぜうまくいったのだろう?」
と考えてみる。
さらに、
「この理由は別のことにも使えないだろうか?」
と考えていきます。
こうなると、メモは単なる記録ではありません。
考えるための材料になります。
私はこの考え方がかなり印象に残りました。
② 「ファクト→抽象化→転用」が面白い。でも難しい
『メモの魔力』の中でも、特に重要だと感じたのが、
ファクト → 抽象化 → 転用
という考え方です。
簡単に言えば、
ファクトは「実際に起きたこと」。
抽象化は「そこから共通する法則や意味を考えること」。
転用は「その気づきを別の場面で使ってみること」です。
言葉だけを見ると、難しく感じるかもしれません。
私も最初はそうでした。
そこで、自分の身近なことに置き換えて考えてみました。
たとえばブログなら、
ファクト
「記事を書いても、思ったほどアクセスが増えなかった」
↓
抽象化
「ただ記事数を増やせばアクセスが増えるわけではなく、読者が求めている内容との一致が重要なのではないか」
↓
転用
「次の記事からは、書き始める前に検索する人が何を知りたいのかを考えてから構成を作る」
というように考えることができます。
こうして具体例にすると、少し分かりやすくなりました。
ただ、実際に自分でやってみると抽象化が一番難しいです。
ファクトを書くことはできます。
転用も、答えが見つかればある程度考えられます。
でも、その間にある、
「この出来事から結局何が言えるのだろう?」
という部分で止まってしまいます。
読めば簡単にできそうに思えるのですが、やってみると意外と頭を使います。
私はそこが、この本の面白いところでもあると思いました。
③ 自己分析1000問にはさすがに驚いた
そして、もう一つ強く印象に残ったのが自己分析1000問です。
「100問」ではありません。
1000問です。
最初に見たときは、
「これ、本当に全部やるのだろうか?」
と思いました。
一方で、少し興味も湧きました。
普段、自分について考えているようで、改めて質問されると答えられないことが意外とあります。
「あなたは何を大切にしていますか?」
と聞かれても、すぐには言葉にできない。
なんとなく頭の中にはあるのですが、それを文章にしようとすると止まってしまいます。
自己分析1000問は、そうした自分でもよく分かっていない自分を言葉にするための材料なのだと思いました。
『メモの魔力』の自己分析1000問とは?
自己分析1000問という言葉だけを見ると、
「1000個の質問に答えれば自分のことが分かる」
と思ってしまうかもしれません。
しかし、実際に取り組んでみると、単に回答欄を埋めることが目的ではないと感じます。
大切なのは、答えたあとです。
たとえば、
「将来の夢は何ですか?」
という質問があったとします。
夢を書くだけなら、それほど難しくありません。
しかし、
「なぜその夢なのか?」
「その夢のどこに魅力を感じているのか?」
「自分が本当に求めているものは何なのか?」
まで考え始めると、一つの質問からかなり話が広がります。
ここに自己分析の面白さがある一方で、難しさもあります。
1000問すべてを一気にやる必要はない
私は最初から1000問全部をやろうとは考えませんでした。
正直、それでは始める前から嫌になりそうだったからです。
そこで、まずは最初の10問に取り組んでみることにしました。
このくらいなら始められます。
実際にやってみて感じたのは、
1000問終わらせることより、一つの質問についてきちんと考えるほうが重要なのではないか
ということでした。
10問しか進まなかった。
そう考えることもできます。
でも、一つの質問から自分の考えを掘り下げられたのであれば、それだけでも意味があります。
私のように「1000問はさすがに多い」と感じる人は、まず10問だけやってみるのでもいいと思います。
実際に自己分析をやってみた
ここからは、私自身が実際に取り組んだ内容を少し紹介します。
自己分析を始めるときに答えた質問の一つが、
「なぜ自己分析をするのか?」
でした。
私の答えは、
自分がどんな人間なのか知るため。
そして、生きるための軸を知るため。
というものでした。
文字にすると、とても普通の答えです。
しかし、ここから考えていくと、
「そもそも、なぜ自分は人生の軸を知りたいのだろう?」
という次の疑問が出てきます。
考えてみると、選択するときに迷いたくないからなのかもしれません。
仕事でも生活でも、
「自分は何を基準に選ぶ人間なのか」
が分かっていれば、判断しやすくなります。
質問に答えるだけなら1分もかかりません。
でも、そこから「なぜ?」を繰り返していくと、一つの質問でもかなり時間がかかります。
「人生の軸は?」と聞かれて出てきた言葉
もう一つ印象に残ったのが、
「現在の自分の人生の軸とは?」
という質問でした。
私が最初に書いた答えは、
「シンプルイズベスト」
です。
自分でも、ずいぶん簡単な答えだと思いました。
でも、なぜこの言葉が出てきたのかを考えてみると、少し面白くなります。
私は物事が複雑になると、
「もっと簡単に考えられないだろうか」
と思うことがあります。
選択肢が増えすぎるより、必要なものを絞ったほうが考えやすい。
そう考えると、
「シンプルに考えたい」というのは単なる好みではなく、自分が物事を判断するときの基準の一つなのかもしれない
と思うようになりました。
自分の回答を「ファクト→抽象化→転用」で考えてみる
せっかくなので、先ほどの回答を『メモの魔力』の考え方に当てはめてみます。
ファクト
「自分の人生の軸は、シンプルイズベストだと答えた」
抽象化
「自分は、複雑な状態よりも、本当に必要なものを絞って考えることを大切にしている」
転用
「仕事や生活でも、何かを増やすことばかり考えるのではなく、不要なものを減らすことを意識する」
こうすると、最初はたった一言だった、
「シンプルイズベスト」
という回答が、少し具体的になります。
これが正解なのかは分かりません。
自己分析に唯一の正解があるとも思っていません。
それでも、
「自分はこういう考え方をする人間なのかもしれない」
と気づけただけでも、やってみる意味はありました。
自己分析をやってみて一番難しかったこと
実際に取り組んでみて、一番難しかったのは質問に答えることではありませんでした。
自分の答えをさらに掘り下げることです。
「将来の夢は?」
と聞かれれば、何かしら答えは出てきます。
「理想の仕事は?」
にも答えられます。
しかし、
「なぜそれが理想なのか?」
「その仕事そのものが好きなのか、それによって得られる生活が好きなのか?」
と聞かれると、一気に難しくなります。
ここで手が止まります。
私自身、
「自分のことなのだから、自分が一番よく分かっている」
とどこかで思っていました。
でも、質問されてみると意外と説明できません。
この感覚は、実際に自己分析をやってみなければ分からなかったと思います。
『メモの魔力』を読んで良かったと思ったところ
自分の考えを言葉にするきっかけになる
私が一番良かったと思うのは、頭の中にある曖昧な考えを言葉にするきっかけになることです。
普段、
「なんとなくこう思う」
で終わっていることは意外と多くあります。
それをメモに書いて、
「なぜ?」
と考えてみる。
それだけでも、自分の考え方が少し見えてきます。
日常の出来事をそのまま終わらせなくなる
何か失敗した。
何かうまくいった。
面白い本を読んだ。
誰かの言葉が気になった。
普通なら、そのまま時間とともに忘れていきます。
しかし、
「ここから何か学べることはないだろうか?」
と一度考えるだけで、その出来事の意味が変わります。
すべての出来事を分析する必要はありません。
ただ、気になったことを少し掘り下げる習慣は面白いと感じました。

『メモの魔力』で大変だと感じたところ
良いところだけではありません。
実際に読んでみて、
「これは人を選ぶかもしれない」
と感じた部分もあります。
読むだけでは効果を感じにくい
本を読み終えて、
「なるほど。いい考え方だった」
で閉じてしまうと、おそらくそれほど大きな変化はありません。
実際にノートを開いて、自分で書いてみる必要があります。
そのため、
読むだけで簡単に生活が変わる方法を知りたい人には少し面倒に感じる
かもしれません。
抽象化が思った以上に難しい
私は特にここで苦戦しました。
「出来事を書く」
まではできます。
しかし、
「そこから何を学ぶのか?」
となると急に難しくなります。
無理に抽象化しようとすると、もっともらしい言葉を作っただけになってしまうこともあります。
この部分は、何度もやりながら少しずつ慣れていくしかないのだと思います。
自己分析1000問はやはり多い
これはどう考えても多いです。
やる気満々で始めても、
「まだこれだけしか終わっていない」
と思った瞬間に嫌になる可能性があります。
そのため、私は1000問という数字にこだわりすぎないほうがいいと思っています。
10問でもいい。
1日1問でもいい。
むしろ、急いで100問終わらせるより、一つの答えからじっくり考えるほうが、この本の考え方には合っているように感じました。
『メモの魔力』はこんな人におすすめ
実際に読んでみて、『メモの魔力』は次のような人には特に合うと思いました。
- 自分が何を大切にしているのか知りたい人
- 将来について考え直してみたい人
- 自己分析に興味がある人
- 考えていることをうまく言葉にできない人
- 日常の出来事から学びを増やしたい人
- メモを単なる記録以上のものとして使ってみたい人
反対に、
「すぐ使えるメモの書き方だけ知りたい」
「本を読んだあとにワークをするのは面倒」
という人には、少し合わない可能性があります。
読むだけで終わるよりも、実際に書いてみる人ほど楽しめる本だと思います。
自分でも一度、自己分析に取り組んでみたいと思った方は、実際に本を読みながら進めてみてください。

まとめ|『メモの魔力』は読むより「やってみる」と印象が変わる本だった
『メモの魔力』を読む前の私は、
「メモを上手に取るための本」
だと思っていました。
しかし、読み終わった今は少し違います。
私にとっては、
「自分が何を考えているのかを言葉にするための本」
という印象のほうが強く残っています。
特に自己分析は、やってみると想像以上に難しいものでした。
質問に答えるだけなら簡単です。
でも、
「なぜ?」
「それは自分にとってどういう意味がある?」
と掘り下げ始めると、簡単には答えが出ません。
私もまだ1000問すべてを終えたわけではありません。
まずは最初の10問から始めています。
それでも、自分が「シンプルイズベスト」という考え方を思っていた以上に大切にしていることなど、実際に書かなければ気づかなかった部分がありました。
1000問という数字を見ると、少し身構えてしまいます。
でも、全部やることを最初の目標にする必要はないと思います。
まず一つ。
そして、もう一つ。
その答えに対して「なぜ?」と考えてみる。
『メモの魔力』は、そうやって実際に手を動かしたときに、ただ読むだけでは分からなかった面白さが出てくる本でした。


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