
『嫌われる勇気』を読んで、
「考え方は分かった。でも、実際の人間関係ではどうすればいいのだろう?」
と感じた人もいるのではないでしょうか。
その「その後」に踏み込んでいるのが、岸見一郎さん・古賀史健さんの『幸せになる勇気』です。
前作では、「課題の分離」や「承認欲求から自由になる」といった考え方が示されました。
本作では、そこからさらに一歩進みます。
他人の課題に踏み込まない。
では、そのうえで他者とどのような関係を築けばいいのか。
人を教育するとはどういうことなのか。
信頼するとは何なのか。
そして、人を愛するとはどういうことなのか。
哲人と青年の対話を通して、こうした問題が掘り下げられていきます。
読んでいると、
「言っていることは分かる。でも、実際にこれをやるのは難しい」
と感じる部分が何度もあります。
簡単には受け入れられないところもあります。
ただ、だからこそ、
「自分は他人とどう関わっているのだろう」
と考えさせられる本でもあります。
この記事では、『幸せになる勇気』の内容を簡単に要約しながら、『嫌われる勇気』との違い、印象に残った考え方、そして実際に取り入れる難しさについて紹介します。
『幸せになる勇気』とは?
『幸せになる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教えⅡ』は、岸見一郎さん・古賀史健さんによる『嫌われる勇気』の続編です。
「勇気の二部作」の完結編にあたります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 書名 | 幸せになる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教えⅡ |
| 著者 | 岸見一郎・古賀史健 |
| 出版社 | ダイヤモンド社 |
| 発売 | 2016年2月 |
| ページ数 | 296ページ |
| ジャンル | 自己啓発・心理・哲学 |
前作と同じく、哲人と青年による対話形式で話が進みます。
ただし、青年の立場は前作とは違います。
アドラー心理学を学んだ青年は教育の現場へ入り、その考え方を実践しようとします。
ところが、現実は思ったようにはいきません。
そして再び哲人のもとを訪れ、
「アドラー心理学は、現実では通用しないのではないか」
という疑問をぶつけます。
つまり本書は、アドラー心理学を初めて知るための入門書というより、
「理解したつもりの考え方を、実際の人間関係でどう実践するのか」
を考える本です。
『幸せになる勇気』を簡単に要約すると?
本書を一言でまとめるなら、
他人から愛されることを待つのではなく、自分から他者との関係へ踏み出すことを考える本
です。
前半では、教育について多くの議論が交わされます。
本書では、ほめたり叱ったりして相手を思い通りに動かすのではなく、相手が自立できるよう援助することを教育の目標として提示します。
そこから話は、仕事や交友関係、人間関係全体へ広がっていきます。
相手を変えようとするのではなく、一人の人間として尊敬する。
見返りが保証されているから信頼するのではなく、自分から信頼する。
そして最後には、「愛」というテーマへ進んでいきます。
本書で語られる愛は、
「自分を愛してくれる人を探す」
という話だけではありません。
自分から他者との関係を選び、そこへ踏み出す。
本書の「幸せになる勇気」というタイトルは、そうした生き方にもつながっています。
『嫌われる勇気』との違い|どちらから読む?
『幸せになる勇気』は、『嫌われる勇気』と続けて読むと内容を理解しやすくなります。
二冊の違いを大まかに整理すると、次のようになります。
| 『嫌われる勇気』 | 『幸せになる勇気』 | |
|---|---|---|
| 主な役割 | アドラー心理学の考え方を知る | 現実でどう実践するかを考える |
| 中心テーマ | 課題の分離・承認欲求・自由 | 尊敬・信頼・自立・愛 |
| 主な問い | 他人の評価からどう自由になるか | 他者とどう関係を築くか |
| 特徴 | 自分の生き方を問い直す | 他者との関わり方を問い直す |
『嫌われる勇気』では、
「他人の期待を満たすために生きなくていい」
という考え方が強く出ています。
そこだけを切り取ると、
「他人とは距離を取ればいい」
と受け取ってしまうかもしれません。
しかし、『幸せになる勇気』では、その先が描かれます。
他人の課題には踏み込まない。
それでも、人との関係から逃げるわけではない。
むしろ、相手を尊敬し、信頼し、自分から関係を築いていく。
前作で「自由」を考え、本作で「他者とどう生きるか」を考える。
この順番で読むと、二冊のつながりが分かりやすくなります。
まだ『嫌われる勇気』を読んでいない場合は、前作から読んだ方が、本書で交わされる議論を理解しやすいでしょう。

『幸せになる勇気』を読んで印象に残った3つの考え方
教育の目標は「自立」
本書の前半では、教育についてかなり多く語られています。
その中で重要なのが、
教育の目標を、相手を自立させることに置く
という考え方です。
本書では、ほめたり叱ったりして相手を動かすことに否定的な立場が示されます。
ほめられたから行動する。
叱られるのが嫌だから行動する。
それでは、行動の基準が自分ではなく、他人の評価になってしまうという考え方です。
そこで重視されるのが、
「自分で考え、自分で選べるように援助する」
という姿勢です。
これは子どもの教育だけではありません。
職場で後輩や部下へ仕事を教えるときにも、
「自分の言う通りにしてほしい」
と思うことがあります。
しかし、本当に自立を目指すのであれば、最終的には本人が自分で判断できるようになる必要があります。
考え方としては理解できます。
ただ、実際に人を教える立場になったとき、どこまで実践できるのか。
そこは簡単ではないと感じる部分です。
相手を変えるより、まず尊敬し信頼する
もう一つ印象に残るのが、「尊敬」と「信頼」です。
人間関係がうまくいかないと、
「相手がもう少し変わってくれればいいのに」
と思うことがあります。
しかし、本書では相手を変えようとするよりも、まず相手を一人の人間として尊敬することが重視されています。
さらに、相手が先に自分を信じてくれるのを待つのではなく、自分から信頼することも求められます。
ここはかなり厳しい考え方です。
普通なら、
「相手も自分を信頼してくれるのか」
「裏切られたらどうするのか」
と考えます。
だから、
「相手が信頼してくれたら、自分も信頼する」
という条件付きの関係になりやすくなります。
しかし、本書ではその順番を逆に考えます。
相手の行動を条件にせず、自分がどうするかを自分で決める。
理屈としては分かっても、現実の人間関係で続けるのは簡単ではありません。
最後にたどり着くのは「愛」
本書の終盤では、「愛」が大きなテーマになります。
教育や仕事、人間関係について話してきたあとに「愛」が登場するので、最初は少し意外に見えるかもしれません。
ただ、読み進めていくと、それまで語られていた自立や尊敬、信頼とつながっています。
本書で重要なのは、
「誰かに愛してもらえれば幸せになれる」
という考え方ではありません。
相手が何かをしてくれるのを待つのではなく、自分から関係を選ぶ。
他者との関係へ踏み出す。
そこにも、自分自身の決断が必要になります。
『幸せになる勇気』というタイトルは、
他者から幸せを与えてもらうのを待つのではなく、自分から人との関係へ踏み出す勇気
と考えると、分かりやすくなります。
納得できる。でも実践するのは簡単ではない
『幸せになる勇気』を読んで強く感じるのは、
考え方を理解することと、それを実践することは別
ということです。
アドラー心理学の考え方は、文章として読むとシンプルに見える部分があります。
しかし、それを実際の生活へ持ち込むと急に難しくなります。
「ほめない・叱らない」は頭で分かっても難しい
本書では、ほめたり叱ったりして相手をコントロールすることに否定的な考え方が示されています。
相手の自立を目指すなら、
「ほめられるからやる」
「叱られるからやめる」
という状態から離れる必要があるという考えです。
理屈として読むと理解できます。
しかし、家庭や職場では、
「きちんと言わないと伝わらないのでは?」
「何も言わなければ同じことを繰り返すのでは?」
と思う場面もあります。
そのため、本を一冊読んだからといって、翌日から完全に実践できるような考え方ではありません。
むしろ、
「今、自分は相手を思い通りに動かそうとしていないか」
と、その都度振り返るための視点として使う方が現実的に感じます。
相手より先に信頼するのは怖い
信頼についても同じです。
相手が応えてくれる保証はありません。
裏切られる可能性もあります。
それでも、本書では自分から信頼することが語られます。
これは簡単ではありません。
人はどうしても、
「相手が自分を大切にしてくれたら、自分も大切にする」
と考えたくなります。
見返りが確認できてから、自分も行動したくなるからです。
しかし、それでは最初の一歩を誰も踏み出せません。
本書の考え方はシンプルですが、実践しようとすると自分自身の不安も見えてきます。
反発したくなる部分があるから考えさせられる
本書には、
「そこまでは納得できない」
「現実はそんなに単純ではない」
と思いたくなる部分もあります。
すべてを素直に受け入れられる内容ではありません。
ただ、それは必ずしも欠点ではないと思います。
むしろ、
「なぜ自分はこの考え方に反発するのだろう?」
と考えるきっかけになります。
『幸せになる勇気』は、書かれていることをすべて正解として受け入れるための本ではありません。
納得できる部分もあれば、反発したくなる部分もある。
その両方を通して、
自分は人とどのような関係を築きたいのか
を考えるところに、本書の面白さがあると思います。
『幸せになる勇気』がおすすめな人・合わないかもしれない人
『幸せになる勇気』は、次のような人におすすめしやすい本です。
- 『嫌われる勇気』を読んだ人
- アドラー心理学をもう少し深く知りたい人
- 人間関係で相手を変えようとして疲れている人
- 子どもや部下、後輩との接し方を考えたい人
- 尊敬や信頼について考えてみたい人
- 自己啓発書でも簡単な成功法則ではなく、じっくり考える本が好きな人
一方で、
- すぐ使える会話術を知りたい人
- 人間関係を改善する即効性のあるテクニックを求めている人
- 哲学的な対話形式が苦手な人
- 『嫌われる勇気』の考え方そのものが合わなかった人
には、少し読みづらい可能性があります。
また、本書に書かれている内容には厳しい部分もあります。
「読むだけで前向きになれる本」というより、
自分の人間関係や生き方について問い返される本
と考えた方が近いでしょう。
『幸せになる勇気』が気になった方は、書籍の詳細や読者レビューを確認してみてください。

まとめ|『嫌われる勇気』のその先を考える一冊
『幸せになる勇気』は、『嫌われる勇気』の内容を繰り返しただけの続編ではありません。
前作で、
「他人の評価に左右されず、自分の人生を生きる」
という方向を考えたあと、本作では、
「その自分が、他者とどう関わりながら生きていくのか」
へ話が進みます。
教育。
尊敬。
信頼。
自立。
そして愛。
どれも言葉だけを見ると分かりやすそうです。
しかし、実際の人間関係で続けようとすると簡単ではありません。
だからこそ、
「これは本当にできるのだろうか」
「自分ならどうするだろう」
と考えさせられます。
『嫌われる勇気』を読んで、
「考え方は分かった。でも、現実ではどうすればいいのか」
と感じた人には、その先を考えるための一冊になると思います。
『幸せになる勇気』が気になった方は、書籍の詳細や読者レビューを確認してみてください。



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