宮島美奈の『成瀬は信じた道をいく』は、デビュー作『成瀬は天下を取りにいく』に続く“成瀬シリーズ”第2弾。
前作で強烈なインパクトを残した主人公・成瀬あかりが、高校3年生から大学生へと進みながら、相変わらず自分の信じた道を突き進む姿が描かれます。
正直に言えば、私は前作で「この子、ちょっと理解しがたい」と感じていました。
あまりに我が道を行きすぎる。
しかし本作を読み終えたとき、その印象はきれいに覆されました。
成瀬は変わらない。
でも、確実に“深く”なっているのです。
成瀬の周りで起きる、小さくて大きな変化
本作は、成瀬自身の内面を掘り下げるというよりも、「成瀬と関わる人々」の視点が印象的です。
京大を目指す城山くん。
受験や大学生活に全力投球する彼の姿には、どこか現代的なリアリティがあります。
テストに遅刻しないために大学構内にテントを張るYouTuberの話を思い出させるような、少しズレていて、でも本気な若者像。
そんな彼と成瀬が交差することで、物語は単なる青春小説ではなく、「信念とは何か」を問いかける物語へと変わっていきます。
そしてやはり外せないのが、幼馴染の島崎との関係です。
成瀬が新しい世界へと踏み出すたびに、少し不安を抱く島崎。
その揺れ動く気持ちはとてもリアルで、若い女子特有の繊細さが胸に刺さります。
それでも二人は離れない。
年越しを一緒に過ごす場面には、思わず頬が緩みました。
「ゼゼカラしていてほしい」
そう願わずにはいられない、最高のバディ関係です。
「何になるかより、何をやるか」——成瀬の名言
本作の中で、強く心に残った言葉があります。
「何になるかより、何をやるかのほうが大事だと思っている。」
進路や肩書きに振り回されがちな私たちにとって、この言葉はまっすぐ胸に届きます。
成瀬は将来の“肩書き”よりも、今この瞬間に自分が何をするかを選び続ける人間です。
だからこそ、彼女は小学生のファンにも、クレーマー気質の主婦にも、観光大使を務める大学生にも影響を与えていく。
本人は決してカリスマを気取らない。
それでも周囲が勝手に巻き込まれ、そして前向きに変わっていくのです。
それはまさにタイトル通り、「成瀬が信じた道をいく」から。
成瀬は“変人”から“格好いい人”へ
第一作では、成瀬は正直“変人”でした。
理解できない、でも目が離せない存在。
しかし本作では、不思議と愛着が湧いてきます。
それは成瀬が成長したからなのか。
それとも、私たち読者のほうが彼女に慣れたからなのか。
おそらく両方でしょう。
彼女の芯の強さ、ぶれない姿勢、そして時折見せる優しさ。
それらが少しずつ積み重なり、「ああ、この子は本気で自分を生きているんだ」と思わせてくれる。
読んでいるうちに、頭の中で成瀬の口調が移ってしまうほどでした。
気づけば私も、少しだけ“自分の道”について考えている。
早く次作が読みたくなるシリーズ第2弾
『成瀬は信じた道をいく』は、派手な事件が起こるわけではありません。
それでも数時間で一気読みしてしまう中毒性があります。
成瀬の交友関係はさらに広がり、物語の可能性も無限に感じられます。
大学での城山くんとの絡みはどうなるのか。
島崎との関係はこのまま揺るがないのか。
読後にまず思うのは、「早く続きが読みたい」という気持ちです。
成瀬は、きっとこれからも自分の信じた道をいく。
そして私たちは、少し羨ましく思いながら、それを見守り続けるのだと思います。
彼女は、やっぱり格好いい。


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