
東野圭吾さんと聞くと、緻密なトリックや伏線、重い人間ドラマを思い浮かべる人も多いと思います。
ところが、『あの頃ぼくらはアホでした』は、そうした東野作品とはかなり雰囲気が違います。
殺人事件もありません。
名探偵も登場しません。
書かれているのは、東野圭吾さん自身の学生時代を中心とした思い出です。
しかも、成功した作家が自分の青春時代を格好よく振り返るような本ではありません。
タイトル通り、
「昔はこんなアホなことをしていた」
という話が次々に出てきます。
中には、
「これ、本当に書いてしまって大丈夫なのだろうか」
と思うような話まであります。
普段の東野圭吾さんの小説とはかなり違いますが、そのギャップこそ本書の面白さです。
この記事では、『あの頃ぼくらはアホでした』がどんな本なのか、内容や特徴、今読むと気になる部分、どんな人に向いているのかを紹介します。
『あの頃ぼくらはアホでした』とは?
『あの頃ぼくらはアホでした』は、東野圭吾さんが自分の少年時代や学生時代を振り返ったエッセイです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 作品名 | あの頃ぼくらはアホでした |
| 著者 | 東野圭吾 |
| 出版社 | 集英社 |
| 文庫版発売 | 1998年5月20日 |
| ページ数 | 304ページ |
| ジャンル | 自伝的エッセイ・青春記 |
中心となるのは、中学・高校時代をはじめとした若い頃の出来事です。
友人との付き合いや学校生活、当時夢中になっていたものなどが、東野圭吾さん自身の言葉で語られていきます。
『容疑者Xの献身』や『白夜行』のような作品をイメージして読むと、かなり印象が違うはずです。
文章も小説より軽く、肩の力を抜いて読めます。
事件の真相を考える本ではなく、
「東野圭吾さんにも、こんな学生時代があったのか」
と楽しむタイプの一冊です。
『あの頃ぼくらはアホでした』の内容
本書では、東野圭吾さんの学生時代を中心に、さまざまな思い出が語られています。
中学校や高校での出来事。
友人たちとの付き合い。
子どもの頃に夢中になった怪獣やヒーロー。
今振り返ると恥ずかしく感じそうな失敗や悪ノリ。
そうしたエピソードが次々と登場します。
ただし、単純に人生を年代順に振り返る自伝ではありません。
「若い頃から努力していたから、今の成功がある」
という成功物語でもありません。
むしろ、自分の過去を少し離れたところから眺め、
「今考えると、ずいぶんアホなことをしていた」
という感覚で語っていきます。
そのため、東野圭吾さんの経歴を知るための本というより、
若い頃の東野圭吾さんを題材にした、ユーモアのある青春エッセイ
と考えた方が近いでしょう。
『あの頃ぼくらはアホでした』を読んだ感想
東野圭吾の小説とのギャップが大きい
本書で特に目立つのが、普段の東野作品とのギャップです。
東野圭吾さんのミステリーには、冷静に組み立てられたトリックや、重い人間関係を扱う作品が数多くあります。
そうした作品から受ける著者のイメージと、本書に登場する若い頃の姿はかなり違います。
失敗する。
くだらないことに夢中になる。
友人と悪ノリする。
現在の「人気作家・東野圭吾」から想像すると、少し意外に感じる部分もあるでしょう。
本書に出てくるのは、完成された作家としての姿ではありません。
一人の少年や青年だった頃の東野圭吾さんです。
そのため、東野作品を何冊も読んできた人ほど、著者への印象が少し変わるかもしれません。
失敗談を笑いに変える文章が読みやすい
本書には、あまり格好よくない過去も出てきます。
普通なら、あえて人には話したくないような出来事もあります。
それでも文章が重くならないのは、過去の自分を必要以上に美化していないからです。
「あの経験があったから、今の自分がある」
と無理に人生訓へ結びつけるわけでもありません。
昔の出来事を振り返りながら、
「今考えると、ずいぶんくだらないことをしていた」
という距離感で書いています。
そのため、失敗談が続いても説教臭くなりません。
昔話を聞いているような感覚で読み進められるところが、本書の読みやすさにつながっています。
怪獣や昭和の学生生活にはかなり時代を感じる
本書を今読むと、時代の違いを感じるところも多くあります。
怪獣や特撮についての話。
当時の学校生活。
友人同士の付き合い方。
現在とは違う価値観や空気が随所に出てきます。
東野圭吾さんと近い世代の読者なら、
「こういう時代だったな」
と懐かしく感じる部分もあるでしょう。
一方で、若い読者には知らない怪獣や昔の文化についての話が続き、少し距離を感じる場面もあるかもしれません。
ただ、その古さも含めて、
東野圭吾さんがどんな時代に少年・学生時代を過ごしたのか
を知ることができるのが本書の特徴です。
今読むと素直に笑うだけでは受け止めにくい部分もある
本書には、現在の感覚で読むと、単純に笑い話としてだけは受け止めにくい場面もあります。
学校の雰囲気。
友人同士の悪ノリ。
当時の人間関係や価値観。
そうしたものは、現在とはかなり違います。
そのため、
「昔は自由でよかった」
とすべてを肯定的に読む必要はありません。
当時と現在では、学校生活や人間関係をめぐる感覚も変わっています。
むしろ、
「当時はこういう空気があったのか」
と時代背景も含めて読む方が自然でしょう。
この部分は、人によって受け止め方が分かれるところです。
昔話として笑える人もいれば、少し引っかかる人もいると思います。
ただ、格好のよい過去だけを選んで書いていないからこそ、東野圭吾さんという人物を少し身近に感じられる部分でもあります。
『あの頃ぼくらはアホでした』がおすすめな人・合わないかもしれない人
本書は、次のような人におすすめしやすいです。
- 東野圭吾さんの小説を何冊も読んでいる人
- 作家本人の学生時代や素顔に興味がある人
- 気軽に読めるエッセイを探している人
- 昭和の学校生活や文化に興味がある人
- 失敗談や昔話をユーモアと一緒に読みたい人
反対に、
- 本格的なミステリーを読みたい人
- 東野圭吾さんの小説と同じ雰囲気を期待している人
- 怪獣や昔の文化についての話に興味がない人
- 現在とは違う価値観の描写が気になりやすい人
には、少し合わない可能性があります。
本書は、格好いい東野圭吾さんを見るための本ではありません。
小説家になる前の、一人の少年・青年としての東野圭吾さんを知る本
と考えると、作品の特徴が分かりやすくなります。
東野圭吾さんの小説とは違う一面を知ってみたい方は、『あの頃ぼくらはアホでした』の書籍情報や読者レビューを確認してみてください。

東野圭吾の違う一面を読みたい人におすすめの作品
笑いの中に毒もある『怪笑小説』
東野圭吾さんのユーモアを別の形で楽しみたいなら、『怪笑小説』も候補になります。
こちらはエッセイではなく短編小説です。
ただし、東野作品の中でも笑いやブラックユーモアが前面に出ています。
単純に明るく笑えるだけではなく、
「これは笑っていいのだろうか」
と思うような毒を含んでいるところも特徴です。
『あの頃ぼくらはアホでした』を読んで、
「重いミステリー以外の東野圭吾も読んでみたい」
と思った人なら、続けて読みやすい作品です。

ミステリーのお約束を笑いに変えた『名探偵の掟』
『名探偵の掟』は、本格ミステリーでよく見かける「お約束」を題材にした作品です。
密室殺人や名探偵、警部といった定番要素を、少し引いた視点から描いています。
作品の種類は違いますが、
自分自身や、自分がよく知っている世界を笑いの対象にする
という部分には通じるものがあります。
普段とは違う東野圭吾作品を読みたい人に向いています。

まとめ|東野圭吾を少し身近に感じられる青春エッセイ
『あの頃ぼくらはアホでした』は、東野圭吾さんのミステリーとはまったく違う青春エッセイです。
今読むと時代を感じる部分もありますが、成功した作家としてではなく、一人の少年・青年だった頃の東野圭吾さんを知れることが本書の面白さです。
東野作品を何冊か読んだあとに、
「今度は少し違う東野圭吾を読んでみたい」
と思った人には、手に取りやすい一冊だと思います。
『あの頃ぼくらはアホでした』が気になった方は、書籍の詳細や読者レビューを確認してみてください。



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