
毎日、職場の人間関係や終わらないタスクに追われ、帰りの電車で「どうしてこんなに生きづらいんだろう……」と、ため息をついていませんか。
周りの期待に応えようと必死に走り回り、他人の機嫌を損ねないように気を配り、気づけば自分の心がカサカサに乾いている。
真面目で責任感が強い人ほど、そんな夜を過ごしているのではないでしょうか。
「自分の器が小さいから」「メンタルが弱いから」と自分を責めてしまいがちですが、決してそんなことはありません。
実は、あなたが苦しいのは「人生を真面目に、完璧にこなそうとしすぎているから」かもしれません。
今回は、そんな凝り固まった肩の力をふっと抜いてくれる中国の古典、境野勝悟氏の訳著『超訳 菜根譚 人生はけっして難しくない』をベースに、仕事や人間関係で心がすり減ったときの「しなやかな心の守り方」をお伝えします。

なぜ私たちは「生きづらさ」から抜け出せないのか?
常に100点満点を狙い続ける「完璧主義」の罠
真面目な人ほど無意識にハマってしまうのが、「失敗してはいけない」「常に100点の結果を出さなければいけない」という完璧主義です。
仕事で小さなミスをしただけで「終わった……」と絶望したり、相手のちょっとした不機嫌な態度を「自分が何か気に障ること言ったかな」と過剰に受け止めてしまったりする。
ですが、生きている限り、予期せぬトラブルも起きれば、不機嫌な人に遭遇することもあります。
常に満点を狙って生きるのは、生身の人間にとってあまりにもハードルが高すぎます。
自分で自分を追い詰めてしまっているのです。
他人の言動や環境を変えようとして疲弊する
もうひとつの苦しみの原因は、「自分ではコントロールできないもの」にエネルギーを使い切ってしまうことです。
職場の嫌な上司、急な方針変更、理不尽なトラブル。
「なんであの人はあんな言い方をするんだろう」「どうして自分ばかりこんな目に遭うのか」と悩んでも、他人の性格や置かれた環境を一朝一夕に変えることはできません。
変わらないものに向かって悩み続けるのは、台風に向かって「暴風をやめろ!」と叫んでいるようなもので、ただ心が疲弊していくだけなのです。
東洋の処世術『超訳 菜根譚』が教えてくれる「心を楽にする型」
そんな生きづらさに効く知恵を詰めたのが、約400年前の中国で書かれた処世訓『菜根譚(さいこんたん)』です。
厳しい世の中を生き抜くためのリアルな処世術が書かれているのですが、本書『超訳 菜根譚』は、それを現代の私たちが日常で使えるレベルまで優しく噛み砕いてくれています。
【実体験】「無難に一日を終えれば100点」という言葉に救われた話
本書に収められている教えの中で、私が最も救われたのが「過ち無きは即ち是れ功なり(大きな過失がないこと自体が、すでに素晴らしい成果だ)」という一節でした。
正直に白状すると、私は以前、職場で大きなプロジェクトを抱えていた時期、「成果を出して周りに認められなきゃいけない」とものすごいプレッシャーを感じていました。
毎朝胃をキリキリさせながら出社し、夜は「今日のあの発言、大丈夫だったかな……」と一人反省会をして眠れない日々が続いていたのです。
そんな時にこの言葉に出会い、ハッとさせられました。
「なにも華々しい大成功を納めなくてもいい。今日一日、大きな事故や失敗なく無事に仕事を終えて帰宅できたなら、それだけで100点満点じゃないか」
そう思い直した瞬間、すーっと胸のつかえが取れていく感覚がありました。
「完璧な成果」を目指すのをやめ、「今日も無事に一日を生き延びた」と自分を許してあげる。
この視点を持てたおかげで、プレッシャーで押し潰されそうだった日常に、少しずつ心の余白を取り戻せるようになったのです。
トゲのある言葉をぶつけられたら「あたたかい言葉」で返す
もうひとつ、職場などの人間関係で即効性があるのが「暖なれば即ち生ず(冷たい言葉には、あたたかい言葉でお返しする)」という教えです。
仕事で相手からトゲのある言い方をされたり、冷たい正論をぶつけられたりすると、防衛本能からつい同じような冷たいトゲで言い返したくなりますよね。
ですが、冷たさに冷たさで返すと、その場には殺伐とした空気しか残りません。
あえて「お忙しい中、教えていただきありがとうございます」と温かい一言を添えて返してみる。
そうすると、相手の攻撃的な姿勢もしゅんと萎み、余計な摩擦を生まずに自分自身を守ることができます。
感情的になりそうな時こそ、一呼吸置いて「温かい言葉を一つ胸に抱く」。これだけで人間関係のストレスは驚くほど減っていきます。

読んで感じた『超訳 菜根譚』のリアルな感想(良い点・気になった点)
良い点:見開き2ページで読める!忙しい夜でもスッと頭に入る
本書の一番の魅力は、「1テーマが見開き2ページ(左側に原文・意訳、右側にやさしい解説)」で完結している点です。
疲れて帰ってきた夜に、難しいビジネス書や分厚い専門書を開く気力なんて起きませんよね。
本書なら、ベッドの中でパラパラとページをめくり、気になる項目だけを1〜2分でサクッと読めます。
解説の語り口も非常に柔らかく、まるで親しい人生の先輩からお茶を飲みながらアドバイスを受けているような温かみがあります。
気になった点:解説があっさりしすぎて物足りないことも?
あえて気になった点を挙げるなら、「超訳」として読みやすさを最優先しているため、解説がかなりシンプルで、人によっては少しあっさり感じられる部分があることです。
古典の深い成り立ちや、漢文としての厳密な解釈をじっくり味わいたい「原典派」の人にとっては、意訳が自由すぎると感じるかもしれません。
ですが、「まずは今夜のモヤモヤを消したい」「難しい理論よりも、今すぐ使える心の処方箋がほしい」という読者にとっては、これ以上なく扱いやすい入門書だと感じます。
まとめ|今日から「満点」を目指すのをやめて、今日という一日を愛おしもう
人生を難しく、苦しくしていたのは、外側の環境ではなく「完璧であらねばならない」という自分自身の思い込みだったりします。
無理に大成功を狙う必要も、すべての人に好かれる必要もありません。
- 大きな失敗がなく、一日を無事に終えられたらそれで大成功
- トゲのある言葉には、温かい言葉を一言添えて流す
まずは今夜、スマホを置いて深く深呼吸をしてみてください。
100点満点を目指して戦うのを一度やめて、「今日も一日よく頑張ったな」と自分を認めてあげませんか。
ほんの少し考え方の角度を変えるだけで、明日からの景色は今よりずっと柔らかいものに見えてくるはずです。


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