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青柳碧人『むかしむかしあるところに、やっぱり死体がありました。』感想・あらすじ|5編の見どころと1作目との違い

青柳碧人『むかしむかしあるところに、やっぱり死体がありました。』感想・あらすじ|5編の見どころと1作目との違い

かぐや姫。

おむすびころりん。

わらしべ長者。

猿蟹合戦。

ぶんぶく茶釜。

子どもの頃から知っている昔ばなしが、本格ミステリーになったらどうなるのでしょうか。

青柳碧人さんの『むかしむかしあるところに、やっぱり死体がありました。』は、「昔ばなし×本格ミステリ」シリーズの第2作です。

第1作でも、昔ばなしの設定を利用した謎解きが大きな魅力でした。

第2作では、その面白さを引き継ぎながら、さらに一歩進んでいます。

今回の特徴は、

5つの短編をそれぞれ楽しめるだけでなく、作品同士のつながりまで仕掛けられていること。

です。

単なる続編ではなく、

「今度は昔ばなしをどうミステリーに変えるのだろう?」

と考えながら読み進められます。

この記事では、『むかしむかしあるところに、やっぱり死体がありました。』のあらすじ、収録5編の特徴、第1作との違い、良かったところや気になるところを紹介します。

犯人名・トリックの核心・結末には触れません。

『むかしむかしあるところに、やっぱり死体がありました。』作品データ

項目内容
書名むかしむかしあるところに、やっぱり死体がありました。
著者青柳碧人
出版社双葉社
発売日2021年10月21日
ISBN978-4-575-24454-0
ジャンル本格ミステリー・短編集
収録作品全5編
シリーズ「昔ばなし×ミステリ」第2作

本作は、2019年に刊行された『むかしむかしあるところに、死体がありました。』の続編です。

第1作とは違う5つの昔ばなしを題材にしています。

『むかしむかしあるところに、やっぱり死体がありました。』あらすじ【ネタバレなし】

本作に収録されているのは次の5編です。

収録作品元になった昔ばなし
竹取探偵物語竹取物語・かぐや姫
七回目のおむすびころりんおむすびころりん
わらしべ多重殺人わらしべ長者
真相・猿蟹合戦猿蟹合戦
猿六とぶんぶく交換犯罪ぶんぶく茶釜・かちかち山

かぐや姫の世界では殺人事件が発生。

おむすびころりんでは、同じような出来事が何度も繰り返されます。

わらしべ長者では、物々交換の途中で複数の事件が絡み合います。

猿蟹合戦では、誰もが知る昔ばなしの「真相」が別の方向から描かれます。

そして最後のぶんぶく茶釜では、別の昔ばなしとのつながりも見えてきます。

5編すべてに共通するのは、

昔ばなしに元からある設定を、ミステリーの仕掛けとして利用していること

です。

題材が有名なので物語へ入りやすい一方、展開は私たちが知っている昔ばなしとは大きく変わります。

結論|『やっぱり死体がありました。』は面白い?

第1作が好きだった人なら、第2作も楽しみやすい作品です。

ただし、

「昔ばなしを別のものに変えただけ」

ではありません。

第2作では、

時間の繰り返し。

複数の事件。

別々の昔ばなしのつながり。

5編を通したテーマ。

など、仕掛けが広がっています。

第1作では、

「昔ばなしを本格ミステリーにする」

という発想そのものが大きな驚きでした。

第2作では、その仕組みを知っている読者に対して、

さらにどんな仕掛けを見せるのか

がポイントになります。

短編集なので読みやすく、それでいて5編をまとめて読む楽しさもある。

そこが第2作の魅力です。

5編それぞれの見どころ

ここから各作品を簡単に紹介します。

真相に関わる内容は伏せています。

「竹取探偵物語」|かぐや姫の世界で探偵ミステリー

題材は「竹取物語」です。

竹取のシゲとかぐや姫が暮らす世界で、殺人事件が発生します。

タイトルに「探偵物語」とあるように、事件の謎を追うミステリーとして入りやすい一編です。

かぐや姫という幻想的な題材と、殺人事件を調べる探偵的な物語。

その組み合わせから、第2作の方向性が分かります。

「七回目のおむすびころりん」|繰り返される出来事の謎

題材は「おむすびころりん」。

欲深い惣七じいさんを中心に、同じような出来事が繰り返されます。

なぜ同じ流れが続くのか。

どこに違いがあるのか。

昔ばなしにある「繰り返し」の感覚を、そのままミステリーの仕掛けへ変えているところが特徴です。

5編の中でも、昔ばなしと少しSF的な発想を組み合わせた変わった読み味になっています。

「わらしべ多重殺人」|物々交換が事件をつないでいく

題材は「わらしべ長者」。

主人公は一本のわらしべを手に旅へ出て、出会った人たちと物々交換をしていきます。

本来なら、

わらしべから少しずつ価値のある物へ変わっていく物語。

しかし今回は、その交換によって出会った人々が事件へ関わります。

人から人へ物が移っていく昔ばなしの構造が、事件同士をつなぐ仕掛けになる

ところが見どころです。

「真相・猿蟹合戦」|知っている物語を疑ってみる

題材は「猿蟹合戦」です。

意地悪な猿と、被害を受ける蟹。

そして仲間たちによる仇討ち。

よく知られた昔ばなしですが、本作では、

「私たちが知っている話が、本当にすべてなのか」

という方向から見直していきます。

善と悪がはっきりしているように見える昔ばなしでも、別の立場から見ると印象が変わる。

シリーズらしい面白さが出ている一編です。

「猿六とぶんぶく交換犯罪」|別の昔ばなしまでつながっていく

最後の題材は「ぶんぶく茶釜」。

茶釜に化ける狸が登場します。

ただし、この狸には別の昔ばなしとの関係もあります。

ここまで読み進めると、

「昔ばなしは一つずつ完全に独立しているわけではない」

という第2作らしい仕掛けも見えてきます。

5編を一冊通して読む意味を感じやすい作品です。

第1作と第2作の違い

シリーズをこれから読む人にとって、

「1作目と2作目は何が違うの?」

という点は気になるところでしょう。

簡単に比較すると、次のようになります。

比較第1作第2作
基本昔ばなし×本格ミステリー昔ばなし×本格ミステリー
題材一寸法師・花咲か爺さん・鶴の恩返し・浦島太郎・桃太郎かぐや姫・おむすびころりん・わらしべ長者・猿蟹合戦・ぶんぶく茶釜
特徴発想そのものの驚き仕掛けの広がり・作品同士のつながり
向いている人シリーズを初めて読む第1作が面白かった人

第1作は、

「昔ばなしを本格ミステリーにしたら、こんな作品になるのか」

という新鮮さが強い作品です。

一方の第2作は、

「昔ばなし×ミステリーという仕組みを、さらにどう広げるか」

に面白さがあります。

そのため、同じシリーズでもまったく同じ読み味ではありません。

シリーズを最初から読みたい方は、第1作『むかしむかしあるところに、死体がありました。』の感想・あらすじから読んでみてください。

青柳碧人『むかしむかしあるところに、死体がありました。』感想・あらすじ|5編の見どころを紹介
青柳碧人『むかしむかしあるところに、死体がありました。』の感想とあらすじを紹介。一寸法師、花咲か爺さん、鶴の恩返し、浦島太郎、桃太郎を題材にした5編の見どころや面白さを、犯人やトリックの核心を伏せて解説します。

1作目を読んでいなくても第2作から読める?

第2作から読んでも、基本的には問題ありません。

題材になる昔ばなしも変わり、それぞれの事件も独立しています。

そのため、

「1作目を読まないと登場人物や事件が理解できない」

という続編ではありません。

ただし、これからシリーズを読むのであれば、

第1作 → 第2作

の順番をおすすめします。

第1作で「昔ばなし×本格ミステリー」という基本を楽しんだあとに読むことで、

第2作ではどこが変わったのか。

どんな仕掛けが増えたのか。

という比較もできます。

無理に第1作を読まなければならないわけではありませんが、シリーズとして読むなら刊行順の方が自然です。

良かったところ

第1作の焼き直しになっていない

続編で気になるのが、

「昔ばなしを入れ替えただけでは?」

という点です。

本作では、題材を変えるだけでなく、仕掛けそのものも広げています。

特に、

「七回目のおむすびころりん」の繰り返し。

短編同士のつながり。

別々の昔ばなしが同じ世界に存在するような広がり。

などが加わりました。

第1作とは違う楽しみ方ができます。

昔ばなしを知っているので物語へ入りやすい

かぐや姫。

おむすびころりん。

わらしべ長者。

猿蟹合戦。

ぶんぶく茶釜。

どれも名前を聞けば、大まかな内容を思い出しやすい昔ばなしです。

そのため、知らない世界を一から覚える負担が少なくなっています。

登場人物や設定を理解することより、

「今回はどんな事件が起こるのだろう」

という部分へ集中しやすい作品です。

5編をまとめて読む楽しさがある

短編集は、一編読み終えると完全に話が切れる作品もあります。

本作は一編ずつでも楽しめますが、読み進めるにつれて見えてくるものもあります。

そのため、

5編を最後まで読むことで完成する面白さ

があります。

この点は第2作ならではの特徴です。

気になったところ

元の昔ばなしを知らないと少し楽しみが減る

物語そのものは、昔ばなしを詳しく知らなくても読めます。

ただし、

「元の物語ではこうだった」

と知っているからこそ分かる変化や仕掛けもあります。

特に猿蟹合戦やぶんぶく茶釜などは、大まかな話を思い出しておくと読みやすいでしょう。

ファンタジー設定が苦手な人には合わない可能性がある

舞台はあくまで昔ばなしです。

現実には起こらない出来事や存在も登場します。

そのため、

「すべて現実世界のルールで成立するミステリーが読みたい」

という人には合わない可能性があります。

反対に、

その世界独自のルールを利用した謎解き

が好きなら、楽しみやすい作品です。

第1作ほどの「初めて見た驚き」は薄くなる

第2作なので、

「昔ばなしをミステリーにする」

という発想自体はすでに分かっています。

その意味では、第1作を読んだときと同じ種類の新鮮さはありません。

ただ、その代わりに第2作では、

作品同士のつながり。

仕掛けの広がり。

別の昔ばなしとの関係。

が加わっています。

同じ驚きを繰り返すのではなく、別の方向へ進んだ続編と考えた方がよいでしょう。

『やっぱり死体がありました。』はこんな人におすすめ

特におすすめなのは、次のような人です。

  • 第1作が面白かった
  • 昔ばなしが好き
  • 短編ミステリーが好き
  • 普通とは少し違った謎解きを読みたい
  • 作品同士がつながる短編集が好き
  • 長編ミステリーは少し苦手
  • 青柳碧人さんの発想型ミステリーが好き

反対に、

現実性の高い社会派ミステリー。

重い人間ドラマ。

一人の主人公を長く追う長編。

を求めている場合は、少し方向が違います。

昔ばなしというルールの中で、どんなミステリーを作るのか

を楽しむ作品です。

「昔ばなし×ミステリ」シリーズは全3作

「昔ばなし×ミステリ」シリーズは、全3作です。

  1. 『むかしむかしあるところに、死体がありました。』
  2. 『むかしむかしあるところに、やっぱり死体がありました。』
  3. 『むかしむかしあるところに、死体があってもめでたしめでたし。』

第3作がシリーズ最終巻です。

第3作では、

こぶとりじいさん。

耳なし芳一。

舌切り雀。

三年寝太郎。

金太郎。

などが題材になります。

第2作まで楽しめたなら、そのまま最終巻まで読んでみるのもよいでしょう。

『むかしむかしあるところに、やっぱり死体がありました。』感想まとめ

『むかしむかしあるところに、やっぱり死体がありました。』は、

昔ばなし×本格ミステリーの面白さを、さらに広げたシリーズ第2作

です。

今回使われるのは、

かぐや姫。

おむすびころりん。

わらしべ長者。

猿蟹合戦。

ぶんぶく茶釜。

などの昔ばなし。

第1作と同じく、

「昔ばなしにある設定をどうミステリーへ使うのか」

という発想を楽しめます。

さらに今回は、

出来事の繰り返し。

複数の事件。

別の昔ばなしとの関係。

5編を通したつながり。

などが加わっています。

そのため、

第1作=シリーズの基本を楽しむ一冊

第2作=仕掛けの広がりを楽しむ一冊

と考えると分かりやすいでしょう。

第2作から読んでも事件そのものは楽しめます。

ただ、シリーズとして読みたいなら、第1作から順番に読む方がおすすめです。

昔ばなしが好き。

短編ミステリーが好き。

少し変わった謎解きを読んでみたい。

そんな人には、相性のよい一冊です。

昔ばなしの世界を使いながら、第1作よりさらに広がった仕掛けを楽しみたい方におすすめです。

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